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郷原

世の中にたいそう通りの良い人間がいる。これを郷原(きょうげん)と孔子は言う。━子曰く、郷原は徳の賊なり。正直に自分の意見を主張して、論戦したり、反対したり、というようなことは一切しない。


自らの見識、信念に従って堂々と行動しない。誰にでも調子を合わせて、自分だけいい子になってゆく人間、つまり世渡りのうまい人間のことを郷原と言うのである。このようなものが時代を支配し、あるいは時代の代表的な存在になることもあるが、孔子、釈迦、ソクラテス、キリストといったような人間は、郷原を向こうに廻して自らの信ずるところに従って、堂々と主張し、行動したのだという。


これを知り、私の生き方はどちらに属するか、(或いはどちらを志しているか)ということは、知人ならよくわかるはずであり、私も多く、『仲間はずれ』にされることがあるが、少しも自分を恥じない理由がここにあるのだ。このことからも、よく理解るだろう。『世の中の罠』と『真実の尊さ』が。


参考文献

論語の活学

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