ソクラテス『悪法も、また、法なり。』

03/21/201911/21/2025

古代ギリシャ哲学者　ソクラテス（画像）

内省

『悪法も、また、法なり。』

この意味は、悪い法律であっても法は法であるから、通用している間はそれを守らなければならないということ。法律とはそういうものだ。『江戸散歩』にはこうある。

例えば、今からおよそ350年前、明暦元年（1655年）に、幕府が公布した『江戸市中法度』によれば、不倫は男女同罪とされ、夫は、密通した間男をその場で殺してもよいと定められていた。実際、妻を寝取られた武士が現場を押さえた場合は、即座にその不倫相手を斬り殺すことも許されていたのだ。

さらに、寛保2年（1742年）の『公家方御定書』でも、不倫した妻と相手の間男は死罪とされた。男は裸馬に乗せられて市中を引き回しのうえ、斬首した首を刑場で三日間さらす獄門。女は斬首の刑に処されることになった。当時の川柳にも「枯れ木の枝と間男は登りかけたら命がけ」と詠まれている。

それが今ではどうか。刀を持つことが当然のステータスだった時代からすれば、まるで異次元の法の概念が、当たり前になっている。仇討や、切腹をしようものなら、道を踏み外した哀れな人間だと、数えられてしまうだろう。だが、当時なら”英断”だった。これについて、どう考えるか。

人間は常に、法律や常識や、多数決の意見に囚われて生きていると考えても仕方ない。その法律が正しいとか、間違っているとかではなく、人間とは、そういう生き方しかできないのだ。動物や昆虫には、法律すらない。そう考えるともしかしたら人間は、地球の覇者のフリをしているが、法律がなければ秩序を保てず、生き方を支配できない、一番哀れな生命なのかもしれない。

注意

※これらの言葉は参考文献『これならわかるソクラテスの言葉』や史実に基づき、自らの生きる糧、自らを戒めるため、内省の為に日々書き留めたものです。史実を正確に把握したい方は正当な書物をご覧ください。

補助的分析（AIによる語彙・背景・正確性の中立整理）

※本節では、運営者の内省（言葉だけを見て内省した解釈）ではなく、AI（ChatGPT）による「中立性」と「正確性」を基準に、今回の名言を整理します。名言の多くが出典未確認である現実を踏まえつつ、語彙・背景・意味領域を客観的に位置づけます。

名言提示（再掲）

ソクラテス『悪法も、また、法なり。』

一般的な解釈

この言葉は、「たとえ不当で不完全な法律であっても、それが“法”として定められている以上、市民はそれを遵守しなければならない」という趣旨を持つものとして広く知られています。
ただし学術的には、この表現はソクラテス本人の発言としての確証はなく、プラトン『クリトン』におけるソクラテスの姿勢（法を破って逃亡しないという決断）を後世が短く要約したものとされています。

ソクラテスは、市民としての義務を重視し、**“法の不正義は法を破って良い理由にはならない”**という立場を取りました。
この構文は、法／個人、正義／秩序、国家／市民という対立軸を浮かび上がらせ、法治主義の根源的問題を提起するものとして捉えられます。

思考補助・内省喚起

この名言は、「不正な法律にどう向き合うべきか」「法に従うことと正義を守ることは両立するのか」という問いを与えます。
単に従うことでもなく、破ることでもなく、**“法の改善に向けて行動する責任”**に目を向けさせます。
「法が不当なとき、自分はどう行動すべきか」「法と正義の境界をどう考えるべきか」を内省する起点となります。

翻訳注意・文化的留意点

文化的背景：
この表現は「悪法＝悪い法律」だけを指すのではなく、法の権威性・社会契約・市民義務を含んだ複合的概念です。
英語圏には “A bad law is still a law.” という直訳がありますが、これだけではソクラテス的文脈が抜け落ちるため、背景説明が必要です。

語彙の多義性：
「悪法（bad law / unjust law）」は、
・内容の不正義
・手続きの問題
・運用の不備
など多くの層を持ちます。
「法（law）」は、
・国家による規範
・共同体の合意
・秩序の象徴
を意味します。

構文再構築：
“Even an unjust law remains a law.”
という形で英語化すると意味構造が保持されます。

出典・原典情報

※一次資料未確認
この表現は、プラトン『クリトン』の思想を短句化したもので、ソクラテスの逐語的発言ではありません。
本人の思想としては整合するが、引用としては後世の編集語録に近いものと扱われます。

異訳・類似表現

異訳例：
「たとえ悪法であっても、法であることに変わりはない。」
「不正な法律でも、法としての拘束力を持つ。」

思想的近似例（日本語）：
「法は法だ。」── 一般表現
「法は守るべき、変えるべきは政治。」── 出典未確認

思想的近似例（英語）：
“A bad law is still binding.” ── 一般表現
“One must obey the law, even if it is unjust.” ── 思想近似

タグ（思想分類）

#法と正義　#市民義務　#古代ギリシア思想
#法治主義　#国家と個人　#倫理哲学
#社会契約論　#政治思想

語義分解（主要キーワード）

用語	定義	補足
悪法	不正義・不備・不当な法律	内容と運用の両面に問題を含む概念
法	社会秩序を維持する規範	正義と時に乖離する点が問題の核心
もまた	対比・例外なき適用を示す語	“悪いものでも法である”の構文強化