ポスター画像出典:『Yahoo!映画』
レビュー
1969年に女優シャロン・テート殺害などの無差別連続殺人事件を起こしたカルト集団、チャールズ・マンソン・ファミリーの主要女性メンバーを描いた実話だ。『ワンハリ』で有名になったその事件の真相が気になる人も多いだろう。私もその一人だ。だが、この映画の評価が低く設定されていた。それは勘違いをしている。
それは彼らが『したこと』が認められないのであって、フィクションじゃないんだから価値がある『資料』だ。ワンハリで気になった人の為にもいいし、人が『生きるべき道』を見誤らないためにも存在価値がある。イージーライダーとも同じ時代だし、ベトナム戦争という理不尽なうねりのせいで、 ヒッピー(マリファナ、自由、自然意識) などが生み出された60年代のアメリカの歴史としても、注目に値する。
哲学を学んだ者からしたら、フロイトや各哲学者の哲学の『独自解釈』をする人間、哲学を信じて突き進む人間の貴重な姿を観ることができる。 例えばソクラテスの遠い弟子にあたるディオゲネスは、コクリコ坂からでも名前が出てくるが、道ばたで公然と自慰行為をして、
擦るだけで満足できて、しかも金もかからない。こんなによいことは他にない。食欲もこんなふうに簡単に満たされたらよいのに
と言った。 想像するとまずい。樽に住んでるし。だが、世界の哲学者とはそういう『自由発想』をするのが基本。 勿論彼らはそれを『援用(自分の私利私欲を正当化するために利用)』しただけだから、 (ふむ。これは哲学の曲解かつ援用だな)として、どちらにせよ『人間の勉強』になるのだ。だからこうした『逸れた人間の姿』は貴重な資料だ。したがって☆2ではない。
観ていくと彼女らに影響を与えたのが
- ベトナム戦争
- ヒッピー文化
- 月面着陸
という事実が見えてくる。セリフにはこうあった。
1969年(事件を起こした時)、誰もが宇宙レベルで変化があると思っていた
確かに月面着陸は1969年だった。(1969年7月20日午後4時17分) シャロンテートが殺されたのは1969年の8月9日だから、この歴史的変化に心を『持ってかれた』心の弱い人たちが多かったというのはうなづける話。 これも更に付け加える話がある。
この8年前の1961年にガガーリンが世界最初の宇宙飛行を成功させた。宇宙から帰還したガガーリンの歓迎パーティにロシア正教のモスクワ総主教アレクシー1世が列席しており、ガガーリンに尋ねた。
- 総主教『宇宙を飛んでいたとき、神の姿を見ただろうか。』
- ガガーリン『見えませんでした。』
- 総主教『わが息子よ、神の姿が見えなかったことは自分の胸だけに収めておくように。。』
つまり、ガガーリンやアームストロングらがやった偉業は、この世界で権力を握る宗教関係者を含んだ、膨大な数の人間に心的影響を与えた。 この映画を『グロい』と言ってた人がいたけどそんな描写はなく、むしろ配慮されていた。オウム真理教の一連の事件にも共通していることが多く、『洗脳』される人間の心理を見るにも、貴重な資料だ。 したがって、★2ではない。 とても貴重な資料だ。
補足分析(構造限定)
認知・心理構造
・個人の不安や空虚感が、集団的物語(選民・使命・終末)によって意味づけされる構造
・カリスマの断定的言語が、思考の外注化を促進し、疑念を抑制する心理過程
倫理・価値観の揺れ
・自由・愛・解放といった価値語が、暴力行為の正当化に転用される局面
・被害の不可逆性と、加害側の自己物語が乖離したまま並存する構造
社会構造・制度背景
・1960年代後半の社会変動(反戦・カウンターカルチャー・技術的飛躍)が、価値の空白を生む力学
・メディア露出と名声が、逸脱行為を増幅・固定化する循環構造
言葉・定義・前提破壊
・哲学・宗教語彙の断片的援用が、私的欲望を普遍真理へ偽装する装置として機能
・「家族」「愛」「自由」という語が、統制と服従を隠蔽する前提の転倒
現実対応構造
・映画内の構造は、急激な社会変動期におけるカルト形成と洗脳プロセスの普遍モデルと同型である
論点抽出(問い)
- (問い1)価値の空白は、どの条件でカルト的物語に回収されるのか
- (問い2)カリスマ性は、どの段階で批判免疫を獲得するのか
- (問い3)哲学的言語は、なぜ暴力の免罪符になり得るのか
- (問い4)メディア注目は、逸脱をどのように強化するのか
- (問い5)自由の語は、統制をどこまで覆い隠せるのか
人間理解ポイント
・人は不安が強いほど断定的物語に惹かれる
・権威への委譲は思考負荷を軽減する
・言葉は行為の意味を反転させ得る
・集団は責任を分散させる
抽象コア命題(普遍層)
- 命題1:(価値の空白は、過激な意味付けで埋められやすい)
- 命題2:(断定的言語は、批判を停止させる)
- 命題3:(理念の援用は、暴力を正当化し得る)
誤認リスク補足
・本作を加害者の美化として読むのは誤り
・残虐性の有無のみで判断すると、形成構造が見えなくなる
・思想そのものと、その援用過程を混同しやすい
構造分類タグ(抽象レイヤー)
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