レビュー
衝撃の問題作というのはこういうものだ。日本では映画倫理委員会 (映倫) が多数の箇所に修正を入れない限り区分適用外、すなわち上映不許可とする判断を示した。
これが★3をつけられているのは、これが『R200』だからなのだ。例えば母や祖母が★をつけるとなれば★3どころか1になる。ただ年を取ればいいということではない。勉強しなければならない。
まず、麻薬、アルコール、ギャンブル、衝動買いらと同じように依存症がある。例えば、彼を否定するならタイガー・ウッズを否定することになる。彼のゴルフの偉業だけに目を向け、実態は見て見ぬふりをするか。しないなら世の中を幅広く見る目と覚悟がある証拠になる。
更に、ナポレオン・ヒルの『成功哲学』にはこうある。
・・あるいはキリスト教の『罪』という言葉をを紐解くと、『的を外す』という言葉にたどり着く(『罪』という言葉は、過ちを意味するラテン語の『peccatum』の訳語である。これは、聖書のギリシャ語『hamartia』の訳語である。これは不足や誤りを意味するが、元々はヘブライ語の『hatta’t』の訳語である。これを忠実に訳すと『的を外す』となる)。『罪を犯す』とは『的を取り違える』、『自分の欲望を間違った方向に持っていくこと』である。我々人間は、このような試練を課せられ、どう生き貫くのかを求められる。
・・ここまで考えた時、『性欲』についてどういう発想が頭に浮かぶだろうか。シェイム(恥)?大勢がこの映画を低く評価したように、『常識』に支配され、そこに『滑稽さ』を覚える?キリスト教の話をしたから、『自分はキリスト教徒ではない』と目を反らす?悪いが、私も無宗教だ。考えさせられる映画が、いい映画だ。だがこの映画は、子供が理解できる映画ではない。
『R200』。人の年齢が100あるかどうかだ。だが、精神年齢は過去の賢人たちの知恵を得れば、引き上げることができる。
補足分析(構造限定)
認知・心理構造
・快楽行為が「逃避」ではなく「反復的処理」として固定化され、本人の意思決定から切り離されていく構造
・羞恥(Shame)が自己制御を回復させるのではなく、逆に孤立と依存を深化させる心理過程
倫理・価値観の揺れ
・欲望そのものではなく、「欲望の向け先」が倫理判断の対象となる局面
・常識的道徳(抑制・隠蔽)が、回復や理解を阻害する構造
社会構造・制度背景
・都市生活における匿名性と即時的アクセスが、依存行動を不可視のまま加速させる力学
・成功・能力・機能性が担保されている限り、個人の内的崩壊が見過ごされる制度的盲点
言葉・定義・前提破壊
・「性」「恥」「逸脱」という語が、行為の質や方向性ではなく、表層的評価に回収される前提の転倒
・宗教的・道徳的語彙が、本来の意味(的を外す/方向の誤り)から切り離されて使用されている構造
現実対応構造
・映画内の構造は、現代社会における各種依存(性・薬物・消費・情報)が同型的に進行する現実と対応する
論点抽出(問い)
- (問い1)欲望は抑圧すべき対象か、方向づけるべきエネルギーか
- (問い2)羞恥は回復を促すのか、それとも依存を固定化するのか
- (問い3)機能している人間の内的破綻は、どこまで社会に見逃されるのか
- (問い4)常識的道徳は、理解の代替になり得るのか
- (問い5)成熟とは年齢か、それとも視座の深度か
人間理解ポイント
・依存は意思の弱さではなく構造の問題である
・羞恥は人を正さず、孤立させることがある
・機能性は健全性を保証しない
・欲望は抑圧より転換によって扱われる
抽象コア命題(普遍層)
- 命題1:(欲望は否定ではなく方向性の問題である)
- 命題2:(羞恥は回復ではなく分断を生みやすい)
- 命題3:(依存は個人ではなく環境と意味付けの産物である)
誤認リスク補足
・本作を過激な性描写の是非で評価するのは誤り
・道徳的嫌悪に回収すると、依存構造が不可視化される
・人物批判と構造提示を混同しやすい
【テンプレ追記|解釈レイヤー固定文(共通)】
※本テンプレにおける補足分析は、筆者の主張・結論・立場表明を示すものではない。
※各作品は、筆者が内在させている「真理からの距離に対する違和感」や思考過程が、どのように照射・再確認されたかという構造的契機として扱われる。
※したがって、未来予測・価値判断・断言的結論として読むことは想定されていない。
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