ポスター画像出典:『映画.com』
レビュー
疫病。ウイルス。一体何が原因で感染してしまったのか。アフリカでエボラ出血熱が流行したとき、その原因がわからず、現地の人は国境なき医師団のせいにして、『あいつらが隔離してウイルスを撒き散らしているんだ!』と激昂した。だが実際には違う。これは、起こりうるかもしれない現実だ。淡々と流れるラストシーンに注目だ。
追記
wikipediaにはこう追記された。
2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症”COVID-19“の世界的な感染拡大に伴い、デマと陰謀論の拡散、医療従事者の感染および伝染、無症状のまま感染を広げる可能性、買い占めや都市封鎖といった本作で描かれた事象の数々が現実に発生しており、本作のために行われた考証や予測の適確さが再評価された。出演者のローレンス・フィッシュバーン、ケイト・ウィンスレット、ジェニファー・イーリー、マット・デイモンが手洗いの励行・不要不急の外出を控えるなど感染を避ける方法と冷静な対応をYoutube動画で呼びかける一方、考証を務めたイアン・リプキン医師、ハガティ准将を演じたブライアン・クランストンのCOVID-19罹患が複数のメディアで伝えられている
その時の映像がこれだ。
ちなみに私はコロナ騒動の半年前に下記の記事を書いていた。


そこにはこう記載している。
『ワールド・ウォーZ』もいいのですが、『インセプション』、『ダークナイト ライジング』のマリオン・コティヤール、『ボーン・アイデンティティー』、『オーシャンズ11』のマット・デイモン、『シャーロック・ホームズ』、『キャプテン・マーベル』のジュード・ロウらが出演する映画『コンテイジョン』は、このあたりのテーマを考えるにはうってつけの映画となっています。
最後の最後のシーンが重要です。この映画のヤフー映画の評価はそう高くないのですが、『最後を観たのか』と言いたくなりますね。私も実はそれを見るまでは少し退屈さを覚えたのですが、最後の最後に淡々と流されたあるシーンを見て覆されました。私はそのシーンを見たとき、ゾッとしましたね。これは決して、空想の話だけで済ませられる問題ではないのです。
それに、今から中国人とインド人の増殖を防ぐことが出来るでしょうか。地球の人口はやがて100億人を超えるでしょう。このようなことをいろいろ考えた結果私は、『真理(愛・神)』を味方につけ、闇に光を照らし、虚無から遠ざかって生きていくことさえ忘れなければ、『不測の事態』が起きたときにもそれに対処でき、世界に平和は実現できる(あるいは秩序が保たれる)という判断に至りました。
しかしこれは言っておかなければならないでしょう。人間の過剰増殖とリヴァイアサン性の暴走によって、壊滅する未来が見えます。ですから私の説く話は、100年後には通用しない可能性があります。私の考えはあくまでも『この時代』を生きる人々にしか通用しないかもしれないのです。
・・そしてこの半年後にコロナ問題が起きて世界に暗雲が立ち込めた。
補足分析(構造限定)
認知・心理構造
・不可視の脅威に直面すると、人は因果を単純化し、特定の主体(他者・組織)に責任を帰属させやすい構造
・不確実性が高いほど、噂・デマ・陰謀論が心理的安定装置として機能する過程
倫理・価値観の揺れ
・個人の自由(移動・消費)と公共の安全(隔離・制限)が正面衝突する局面
・科学的判断と感情的反応が乖離し、正当性の基準が揺れる構造
社会構造・制度背景
・グローバル移動網が感染拡大を加速させ、国家単位の対策を相対化する力学
・医療・行政・メディアが同時進行で意思決定を迫られ、調整コストが増幅する構造
言葉・定義・前提破壊
・「安全」「専門家」「公式発表」といった語が、信頼の前提を巡って争点化する装置として機能
・パニック表象が、冷静な判断を阻害する前提の転倒
現実対応構造
・映画内の構造は、パンデミックにおける情報不確実性・社会反応・制度対応が連鎖する現実と同型である
論点抽出(問い)
- (問い1)不確実性は、なぜ責任転嫁を生むのか
- (問い2)科学的知見は、どの条件で社会に受容されるのか
- (問い3)自由の制限は、どこまで正当化され得るのか
- (問い4)デマは、なぜ事実より速く拡散するのか
- (問い5)個人行動は、集団リスクにどの程度影響するのか
人間理解ポイント
・人は見えない脅威に直面すると単純な物語を求める
・恐怖は理性より速く拡散する
・信頼は平時より危機時に試される
・行動規範は不確実性で崩れやすい
抽象コア命題(普遍層)
- 命題1:(不可視の脅威は、社会的分断を加速させる)
- 命題2:(科学的合理性は、感情的反応と常に競合する)
- 命題3:(危機対応は、制度より信頼に依存する)
誤認リスク補足
・医療技術の是非に終始すると、社会反応の構造が見えなくなる
・個別事例と、集団行動の一般化を混同しやすい
※本作は特定の未来を予言する作品として扱われていない。
※筆者は各記事で言及している通り、「真理からの距離」に対する違和感を常に内在させており、本作および現実の出来事は、その違和感が再度照射された契機として位置づけられている。
※人口増加・感染拡大・管理限界といった構造に対する問題意識は断定ではなく、判断保留を含んだ思考過程として提示されている。
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