ハニワくん先生、質問があるんですけど。
先生では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。
ハニワくんなるほど!
博士も、もっと詳しく教えてくだされ!
トマス・ホッブズ、ジョン・ロックが主張した『社会契約論』をルソーが更に更新しました。
トマス・ホッブズが民衆を国家に服従させるシステム『社会契約論』を主張。その後ジョン・ロックは、民衆に『抵抗権』、『革命権』があるべきだと主張。そしてルソーが階級、財産、身分の人工的な鎖をすべて打ち壊すように主張。民衆は最初『服従』しか選択肢がありませんでしたが、徐々に民衆の自由や権利を重要視するような動きが見られます。
なぜこのように『民衆寄り』の思想に発展していったかというと、この時代は革命がそこら中で行われいて、ルソーの国フランスでは『フランス革命』で国王であるルイ16世やその妻のマリー・アントワネットがギロチンで処刑される等、あまりにもショッキングなことが起きました。
・人はどう在るべきか?
・国はどう在るべきか?
という疑問を持つことは当然で、かつ権力者の越権行為が『正義ではない』という認識が高まっていたのです。そのように『真理、正義』、そして時代背景という2つの要素が軸になり、より多くの人が妥当な人生を生きられるよう、答えを模索したのです。
博士うーむ!やはりそうじゃったか!
ハニワくん僕は最初の説明でわかったけどね!
先生更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
カントが尊敬した男ルソー

上記の記事の続きだ。様々な哲学者たちが、『真理(神)』に目を向け、その実態の解明に勤しんだ。だが、人が違うから『それ』に対する解釈も人それぞれだった。そういうことなのである。そしてとりわけカントは、その『解釈』が見事だったということだ。
そのカントが言った言葉にこういうものがある。
各人の誕生年
| ジョン・ロック | 1632年 |
| バークリー | 1685年 |
| ヒューム | 1711年 |
| ルソー | 1712年 |
| カント | 1724年 |
実は、ドイツの哲学者カントの前に生まれた、あるフランスの哲学者がいる。ジャン=ジャック・ルソーである。

カントは、ルソーの書いた『エミール』についてこう語っている。
カント三大社会契約論
ルソーは『社会契約論』を主張した人物の一人だ。下記の記事に書いたように、社会契約論を主張したのは他にもいるが、
この三人は『三大社会契約論』を主張した人物として歴史に名を刻んでいる。


『リヴァイアサン』を用いて、民衆を国家に服従させるシステムを主張。まずトマス・ホッブズが国家と民衆の関係性を主張した。しかし、その主従関係に首を傾げたジョン・ロックが、そこにある格差をなるべくなくそうと主張。更にそこに現れたのがルソーで、ルソーの場合、いっそのことすべてを自然状態に戻そうと主張したのだ。
ルソーが書いた自身の著書『人間不平等起源論』の文中にはこうある。
「人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった」
- 階級
- 身分
- 貧富
- 差別
このようなものがあると、確かにそこには格差が生まれ、人間関係が不平等となる。ルソーは、
ルソーと言って、自然状態に戻ることが最善だと考えた。
過去の人間の暮らし
下記の記事、つまり『神話が生まれた頃の時代』にまでさかのぼってみよう。


狩猟採集中心の原始時代は、紀元前5000年より前だ。
しかし、人間の集団生活の規模が大きくなり、徐々に人間の暮らしにも変化が起き始める。
このような変化によって、次第に秩序を求めて『神話⇒宗教』へと変化していく。
| 神話 | 狩猟採集時代に生まれた | 自由でめちゃくちゃな発想 |
| 宗教 | 農耕社会を作る過程で生まれた | 秩序を作るためのきっちりとした規範 |

宗教の力があれば人々はまとまった。つまり『神の力』だ。最初はそのようにして、人々は集団をまとめていった。だが、徐々に人間の集団化が進み、力のある者とそうでない者との間に格差が生まれるようになる。部族が国になり、国が帝国になる。

キリスト教の特権の乱用問題もそうだ。権力を持った人間や集団が、越権行為にひた走り、人々は堕落に陥った。

一般意志
つまりルソーは、こうした人工的な秩序が自然状態の平等、愛、幸福を破壊したと考え、これらを克服するために『新しい社会契約論』を提案したのである。それが『一般意志』を軸にした考え方だ。
| 特殊意志 | 個人の意志 |
| 全体意志 | 個人の意志の総和 |
| 一般意志 | 個人の利益より全体の利益を優先させる意志 |

この一般意志を軸にして考えれば、国民一人一人の主体性と権限は引きあがり、すべてが平等となり、腐敗や埋没の可能性を抑制できる。
『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』にはこうある。
一般意志とはなにか。それは人民の総意である。これが普通の理解だ。この定義で多くの読者が理解するのは、おそらくは漠然と『世論』と呼ばれるものだろう。実際に、ルソーは『社会契約論』のある箇所で、一般意志を世論と並べてもいる。したがって、一般意志をおおまかに世論のことだと捉えても、ルソー理解の出発点としてそれほど悪いわけではない。しかし、ルソーの文章を実際に読むと、彼の規定がわたしたちがいま『総意』や『世論』という言葉で想像するものとはかなりかけ離れていることにも気づく。
先ほどの表に、『世論』と書かずに『個人の利益より全体の利益を優先させる意志』と書いたのには理由がある。世論というのはどちらかというと『全体意志』の意味に該当する考え方だ。
男性Aまずこれが『特殊意志』だ。これは個人の意見である。次に、今の意見も含めて、下記のような意見があるとする。
男性B
女性A
女性Bこれらはすべて一つ一つが特殊意志だ。そして、まとめて考えると『全体意志』だ。『みんなの意見』ということである。するとそれは『みんなの意見=世論』ということになる。だから、『全体意志=世論』という解釈で、ほぼ間違いはない。だが、最後の女性だけが、反対意見を出している。そしてこの場合、もしこの女性だけが正しいことを主張していたとしたらどうだろうか。
そう考えると、こういう図式が頭に浮かぶことになる。
世論≠真実
特殊意志<全体意志<一般意志
つまり、世論は必ずしも真実ではなく、一般意志は、特殊意志よりも、それをまとめた全体意志よりも、少し高い位置にある概念ということになる。
例えば、ソクラテスが『無実なのに処刑された』例で考えてみよう。ある時ソクラテスの『相手に自分の無知を知らしめる行為』を悪く思ったアニュトス、メレトス、リュコンは、彼を訴え、裁判で死刑を求刑するよう画策した。ただソクラテスはその裁判で一切自分の自己弁護をせず、むしろ当然のごとく無罪を主張した。もしソクラテスがこの裁判で『彼らの機嫌をうかがっていた』なら、もしかしたらソクラテスはここで死ぬことはなかった。しかし、ソクラテスはそれをしなかった。
そして幼馴染のクリトンに脱獄を勧められても断り、逃げることなく、死刑を受け入れた。彼曰く、
『これまでの生涯で一貫して私が説いてきた原則を、不幸が訪れたからと言って放棄することはできない。』(『クリトン』46)
そしてソクラテスは最期にこう言ったのだ。
『お別れのときが来た。君たちは生きながらえるため、私は死ぬために別れるのだ。君たちと私のどちらがより幸福なのだろうか?答えることが出来るのは神のみである。』(『弁明』42A)

その後、アテナイの人々はソクラテスを刑死させたことを悔やんで、ソクラテスを告訴したメレトスには死刑の判決を下した。その後人々はポンペイオンにソクラテスの銅像を作り、彼を讃えた。
この例で考えると、ソクラテスは『全体意志(みんなの意見)によって、無実なのに殺された』わけだ。この裁判所にいた人の『特殊意志(一人一人の意見)』も、『全体意志』も、間違っていたからこそ、ソクラテスは処刑されることになった。そう考えると、この『一般意志』の重要性が見えてくるようになる。一般意志とはこういうことがないように、全体意志がカバーできない要素を補う、一つレベルが上の概念なのである。
簡単に言うと、このソクラテスのような事例が起きないようにするための、『正しい意見』というのが、この一般意志だ。世論は間違えることが多い。だが、それに支配されない一般意志は、常に人々を正しい判断に導いてくれるというわけである。
ただしルソーはこう言っていて、
しかし、これらの『全体意志を構成する』特殊意志から、相殺し合うプラスとマイナスを取り除くと、差異の和が残るが、それが一般意志なのである。
先ほどの本にはこうある。
一般意志は政府の意志ではない。個人の意志の総和でもない。そして単なる理念でもない。一般意志は数学的存在である。
実は私がした解釈は、ルソーの真意を捉えていない。だが、とにかくルソーはルソーなりに、ソクラテスのような事例を出さないように(不平等なことが起きないように)考えたのである。そしてこのルソーの考え方は、後のフランス革命の根本理念『自由、平等、愛』の基礎となった。
この時代は革命がそこら中で行われいて、ルソーの国フランスでは、国王であるルイ16世が処刑される等、あまりにもショッキングなことが起きた。そういう人々の思想が混沌としている中、
人はどう在るべきか?
国はどう在るべきか?
という疑問を持つことは当然だったのである。
ルソーは言った。
この言葉は、真理である。
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論点構造タグ
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- #革命時代の人間観と国家観
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問題提起(一次命題)
「ホッブズ・ロックが築いた社会契約論を、ルソーはどのように更新し、『一般意志』という概念を通じて、階級・財産・身分による不平等と“世論の誤謬”を乗り越えようとしたのか。」
因果構造(事実 → 本質)
- 事実:原始の狩猟採集時代は、基本的に小集団で、能力差はあっても階級・財産・身分の固定的差別はまだ弱く、人間同士の関係は比較的「自然な平等」に近かった。
- 事実:農耕・定住・部族連盟・古代国家・帝国へと発展する中で、支配者と被支配者、貧富、身分、階級制度が生まれ、宗教や国家が「秩序」と引き換えに不平等を固定化していった。
- 事実:ホッブズは「自然状態は戦争状態だから、リヴァイアサンに権力を集中させて服従する方がまだマシ」と考えた。
- 事実:ロックはそれを半分認めつつも、「国家が越権すれば民衆には抵抗権・革命権がある」とし、自由主義・立憲主義の基礎を築いた。
- 事実:ルソーはさらに一歩進め、「人間は元々平等だった」「人工的な鎖(階級・財産・身分)が人間を不平等と奴隷状態にした」と批判し、「自然状態的平等を目指す新しい社会契約」として一般意志を提示した。
- 事実:同時に、ソクラテスの不当な死刑判決のように、「特殊意志」や「全体意志(世論)」が真実を誤る例があり、それを是正する基準として「一般意志」という一段高いレイヤーを想定した。
本質:
- ルソーの社会契約論は、「民衆vs国家」という構図だけでなく、「多数の意思vs真実」という問題に踏み込み、個々の利害・多数派の世論を超えた、全体の長期的利益としての“一般意志”を哲学的に定義しようとした試みである。
価値転換ポイント
- 「国家の秩序のために民衆は服従すべき」→「民衆は本来平等であり、国家・階級・私有が不平等を生んだ」
- ホッブズ的な「服従の平和」から、ルソー的な「平等の回復」へ。
- 「社会契約=支配を正当化する契約」→「社会契約=不平等を是正し、平等を回復する契約」
- 契約の目的が、秩序維持から平等・自由の実現へシフト。
- 「世論=みんなの意見=正しい」→「世論はしばしば誤る。真に正しい判断は別レイヤー(一般意志)にある」
- 多数決と真理を同一視する態度への批判。
- 「生きる=呼吸していること」→「生きる=行動すること」
- ルソーの言葉「生きるとは呼吸することではない。行動することだ。」による、生の定義の転換。
思想レイヤー構造
【歴史レイヤー】
- 原始〜古代:狩猟採集→農耕→部族連盟→古代国家→帝国。
- 宗教の誕生:神話的混沌から、秩序を与える宗教へ(神話=めちゃくちゃ/宗教=きっちり)。
- 中世〜近代前夜:キリスト教が特権を乱用し、腐敗と不平等が構造化。
- 近代:
- ホッブズ:絶対主権への服従。
- ロック:抵抗権・革命権・三権分立。
- ルソー:自然状態の平等への回帰、フランス革命の理念「自由・平等・愛」の思想的基礎。
【心理レイヤー】
- 不平等・差別・搾取への怒りと嫌悪。
- 「元々人間はこうじゃなかったはずだ」という直感。
- 多数派・世論に流されてしまう人間心理への警戒。
- ソクラテス処刑のような「正しい個人が多数派に潰される」事例への違和感と危機感。
【社会レイヤー】
- 階級・身分・貧富・差別が、人間を不平等と奴隷状態に追い込む構造。
- 宗教・国家・貴族が「神の名」「秩序の名」で越権行為を正当化する。
- ルソーは、こうした「人工的な鎖」の正当性を根本から問い直し、一般意志による新たな政治原理を構想。
- 一般意志は、単なる世論でも政府の意思でもなく、「全体として何が正しいか」という高次の基準として構想される。
【真理レイヤー】
- 特殊意志:個人の利害・感情・一時的な判断。
- 全体意志:特殊意志の総和=いわゆる世論。
- 一般意志:
- 個々人の視野狭窄・利己心・無知を相殺し、
- 「全体の利益」「長期的な正しさ」を表す抽象的な意志。
- 一般意志は、「ソクラテスが殺されるような多数派の誤謬」を是正する“真理側の軸”として機能することが期待されている。
【普遍性レイヤー】
- 「世論=真実ではない」という構図は、現代のポピュリズム・SNS世論・炎上文化にも直結する。
- 「少数派だが正しい個人」が、多数派に潰される危険は、どの時代・どの社会でも繰り返し起きる普遍問題。
- 「全体の利益」と「個人の利益」をどう調停するかは、民主主義・法・倫理・AIガバナンスなど、あらゆる集団意思決定の永続テーマ。
核心命題(4〜6点)
- ルソーは、ホッブズ・ロックの社会契約論を引き継ぎつつ、「人間は本来平等であり、階級・財産・身分などの人工的な鎖が不平等と奴隷状態を生んだ」として、それらを打ち壊す方向で社会契約論を更新した。
- 彼は「特殊意志(個人)」「全体意志(世論)」と区別して、「個人の利益より全体の長期的利益を優先させる意志=一般意志」を定義し、多数派が誤る危険を補正しようとした。
- ソクラテスの不当な死刑判決は、特殊意志・全体意志が真理から逸れた典型例であり、こうした事例を繰り返さないための“より高次の正しさ”として一般意志が構想された。
- ルソーは、一般意志を「政府の意思でもなければ、単なる意志の総和(世論)でもない数学的存在」として位置づけ、真理・正義の軸を多数決の上位に置こうと試みた。
- この一般意志思想は、フランス革命の根本理念「自由・平等・愛(博愛)」の思想的基盤となり、近代民主主義・人権思想に強い影響を与えた。
- 「生きるとは呼吸することではない。行動することだ」というルソーの言葉は、“正しいと信じる一般意志に基づいて行動することこそが生である”という実践的倫理観を端的に表している。
引用・補強ノード
- カントのルソー評
- 「ルソーが私の謬りを正しくしてくれた。私は人間を尊敬することを学ぶようになった。」
→ カントがルソーによって「人間の尊厳」と「平等」を再評価したことを示す重要証言。
- 「ルソーが私の謬りを正しくしてくれた。私は人間を尊敬することを学ぶようになった。」
- ルソー『人間不平等起源論』
- 自然状態での自由・平等と、私有・分業・他人依存から生じた不平等・奴隷状態の分析。
- 三大社会契約論
- ホッブズ:リヴァイアサンへの服従。
- ロック:抵抗権・革命権。
- ルソー:平等回復と一般意志。
- ソクラテスの裁判と死
- 「全体意志(世論)」が無実の個人を殺した歴史的ケースとして、一般意志の必要性を裏づける例。
- 『一般意志2.0』の分析
- 一般意志=世論ではなく、「相殺された特殊意志の差異の和」としての数学的存在、というルソー解釈。
- ルソーの名言
- 「所有している金銭は自由への手段であるが、追い求める金銭は隷属への手段である。」
- 「生きるとは呼吸することではない。行動することだ。」
AI文脈抽出メタデータ
主題:
ルソーが、ホッブズ・ロックの社会契約論を踏まえて「自然状態の平等」と「人工的な不平等」を対比し、「一般意志」という概念を通じて、多数派や世論の誤謬を乗り越えようとした構造と、その思想がフランス革命・近代民主主義に与えた影響。
文脈:
- 歴史:宗教支配の腐敗、中世の暗黒、啓蒙主義、フランス革命。
- 思想系統:ホッブズ(服従)→ロック(抵抗権)→ルソー(平等と一般意志)。
- 哲学系統:カントがルソーを尊敬し、人間の尊厳と理性の自律の思想に取り入れていく流れ。
世界観:
- 人間は本来平等であり、その平等は歴史的・構造的に壊されてきた。
- 多数派・世論はしばしば真理から逸れ、少数の正しい者(ソクラテスなど)が犠牲になる。
- 真の正しさは、「特殊意志」や「単なる全体意志」の上に立つ一般意志として求められる。
感情線:
- 原始の平等への郷愁 →
- 宗教と国家による不平等・腐敗への怒り →
- 革命期の混沌と流血 →
- 「人はどうあるべきか、国はどうあるべきか」を問うルソーの思想的模索 →
- 「行動することが生きることだ」という能動的倫理への収束。
闘争軸:
- 国家権力 vs 民衆の自由・平等
- 人工的な鎖(階級・財産・身分) vs 自然状態の平等
- 世論・全体意志 vs 一般意志(真に正しい意志)
- 「生きながらえる」だけの生 vs 自らの信じる正しさに基づいて行動する生


































