ハニワくん先生、質問があるんですけど。
先生では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。
ハニワくんなるほど!
博士も、もっと詳しく教えてくだされ!
人は昔、動物と同程度の知能しかありませんでした。
ですから、雷や稲妻、洪水のような自然な変化は、何か恐ろしい偉大な存在が自然の秩序を操るものだと信じました。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけです。それが宗教の始まりでもあります。つまり、人が言うことを聞かなかったから、『神』の存在をほのめかし、『神の指示だ』ということにして、人をまとめたのです。
博士うーむ!やはりそうじゃったか!
ハニワくん僕は最初の説明でわかったけどね!
先生更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
『神』の言うことなら聞いた人間

上記の記事の続きだ。このようにして、
- 一夫多妻
- 殺人
- 他人を傷つける
- 盗む
- 嘘をつく
こういった行為がタブーとされるようになり、ルールというルールが人間社会に登場するようになった。しかし問題なのは、このルールを『誰が』人間たちに植え付けるかだ。やはりテストステロンの影響もあるだろうし、権力同士が争いあって、意見を聞かない人間も現れる。統率が取れないのだ。


そこで登場するのが『神』である。そう。いよいよここで、人間社会に『神』という『人間の上にあるもの』が登場するのである。



世界6大宗教も農耕時代の初期に生まれた
世界6大宗教も、そうじゃない消滅した古代宗教も、その大部分はこの農耕時代の初期に生まれたものである。そして人類4大文明も狩猟採集時代から形成されていた神話をルーツにしているのだ。
世界6大宗教
- 仏教
- 儒教
- ヒンズー教
- キリスト教
- イスラム教
- ユダヤ教
人類4大文明
- メソポタミア
- 古代エジプト
- インド
- 中国
『神話』から『宗教』へ
こうして『神話』が『宗教』へと変わっていく。
人々の知能は動物と同程度。神話が想像され、言語が発達して、神話が作られていく。
人々の知能が徐々に発達。秩序を必要とし、宗教が生まれる。
『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』にはこうある。
各地域と民族の情緒と現実に合わせ、より細分化、精密化された神話体系を備え、その社会に必要な倫理と道徳の尺度を提供し、ひいては法律、化学、哲学の本体をなす宗教として体系を整えた
『神』が想像された理由
『神』が想像されたのは、
- 圧倒的な自然現象の正体がわからなかったから
- 人間を統率するための『人間以上の存在』が必要だったから
という2つの大きなポイントが影響していると考えられる。このように物事の起因がわかってくると、この世界や人間の実態が徐々に輪郭を表すようになる。つまり、まず最初に『動物と同程度の知能の人間』が、『圧倒的な自然現象の正体がわからない』ことから、超自然的な存在を想像するようになった。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけだ。それが宗教の起因である。
例えば日本には『千と千尋の神隠し』や『バケモノの子』等で当然のように出てくるように、『八百万の神』として、そこら中に神様がいる。水の神とか、山の神とか、そのようにして神様がたくさんいることで、山を大切にするし、水を大切にする。つまり、『そうしなければ人はそれらを大切にできない』という事実があったことから、人々はそこに『高潔さ』、『神聖さ』を持たせ、価値をつけ、慎重にそれらに接していくようになったのである。

『神』や『祟り』という概念があるからこそ、人はそこにたいして『高潔さ』、『神聖さ』を見出すことができ、その対象をぞんざいに扱わない。そうやって人間が徐々に動物とは一線を画す、理性的な存在になっていくのである。

世界最古の宗教はいつ始まったか
人間が農耕社会を始めたのは正確にはわからないが、『1万年前』くらいから始まっていたと考える専門家もいる。
シリアにある、11500-7500年前頃とされる新石器時代の遺跡、アブ・フレイラ遺跡から出土した人骨には、脊髄損傷、足指の重い骨関節炎、大腿骨や膝の骨の変形といった、旧石器時代の狩猟生活を送っていた人類の骨には見られない特徴が確認されている。このことは、当時の農耕が、狩猟と異なって、いかに過酷な重労働であったかを物語っている。

またいずれ書くが、いわゆる『天国と地獄』の発想の大元はゾロアスター教で、それがユダヤ教、キリスト教らに影響した。終末論(最後の審判)、救世主論(キリスト等のメシア(救世主)が現われる)という発想も、ゾロアスター教が最初である。ゾロアスター教の創始者ゾロアスター(ツラトゥストラ)は紀元前1600年頃を生きたとされていて、モーセが紀元前1280年頃、ヘブル人をエジプトから脱出させ、シナイ山で神ヤハウェと契約を結んで『十戒』を作ったことがユダヤ教の最初だから、ゾロアスター教の方が最初に存在しているという見方が出来る。
ゾロアスターによってゾロアスター教が始まる。
モーセによってユダヤ教が始まる。
イエスの死によってパウロがキリスト教を広める。
ムハンマドによってイスラム教が始まる。
ちなみにバラモン教は、紀元前2500年頃のインダス文明とともに生まれたとも考えられており、世界最古の宗教であると考えられている。宗教が生まれたのは大体このあたり、つまり、今から『4,500年前』くらいだということになるだろう。しかし下記の記事に書いたように人間にとっての一番最初の宗教『原始宗教』である。
『宗教』というのは英語で『religion』と言うが、これはフランス語でもドイツ語でも同じだ。これはラテン語の『religio』に由来し、『神と人をつなげる』という意味がある。したがって、神話で神(創造の範疇を超えた巨大で偉大な存在)を敬う、という行為自体は『宗教』と言えるのである。だとしたら、神話が存在していた時代からすでに宗教も存在していたと言えるだろう。それがいつ生まれたのかは明言できないということになる。

『エクソダス:神と王』でモーセに逆らったヘブライ人
『モーセの十戒』が作られたのは、紀元前1280年頃だ。

- 『わたしのほかに神があってはならない。』
- 『あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。』
- 『主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。』
- 『あなたの父母を敬え。』
- 『殺してはならない。』
- 『姦淫してはならない。』
- 『盗んではならない。』
- 『隣人に関して偽証してはならない。』
- 『隣人の妻を欲してはならない。』
- 『隣人の財産を欲してはならない。』
- 『偶像を作ってはならない。』
※モーセの十戒。ここには異なった訳を入れて11個掲載。
この十戒にあるのは、冒頭に挙げた内容とほとんど同じものである。こうして人間は、人間の上に『神』を想像し、人間に規範(ルール)を与えていき、秩序を作ってきたのだ。
このモーセが十戒を作ったのは紀元前1300年頃だが、映画『エクソダス:神と王』でも、400年以上奴隷として扱われてきたヘブライ人を救い、ある海の前まで連れてきたモーセに対し、ヘブライ人がこう意見するシーンがある。
ヘブライ人
モーセ自分たちを救おうとする存在ですら、人は疑ってしまう。しかし、その人物に偉大なる後光が差すのなら、人はそのエネルギーから力をもらい、立ち上がることができる。

論点構造タグ
- 「人間を統率するための装置」としての神・宗教の機能
- 圧倒的自然現象への畏怖から生まれた神話 → 秩序維持のための宗教への転換
- 神を「人間以上の存在」として前面に立てることで、権力者の命令に正当性を与える構造
- 世界六大宗教・四大文明と農耕社会初期の関係
- ゾロアスター教からユダヤ教・キリスト教・イスラム教への思想的継承(終末論・天国/地獄)
- 十戒に代表される「神の名を借りたルール化」と、原始宗教としての神話との連続性
問題提起(一次命題)
- なぜ人間社会は「人間自身」ではなく、「人間以上の存在(神)」を前提にしなければ統率できなかったのか。
- 神話がどのように宗教へと変貌し、道徳・倫理・法律の源泉となっていったのか。
因果構造(事実 → 本質)
- 事実①:
原始人は動物と同程度の知能しか持たず、雷・稲妻・洪水などの自然現象を「圧倒的な超越存在の仕業」として捉えた。 - 事実②:
狩猟採集時代に形成された神話は、自然への畏怖と超自然的存在への敬いから生まれた。 - 事実③:
農耕社会が始まり、大規模な定着生活と共同体秩序が必要になると、人々は既存の神話を基盤に「神」を再定義し、統率の根拠とした。 - 事実④:
一夫多妻・殺人・傷害・盗み・嘘などがタブーとされ、ルールが必要になったが、人間同士の権力争いとテストステロン由来の攻撃性ゆえに、単なる「人間の命令」には従わない者も多かった。 - 事実⑤:
そこで支配者たちは、「これは神の指示である」と宣言することで、自らの命令に超越的な正当性を付与し、人々を従わせた。 - 事実⑥:
世界六大宗教の多くや四大文明は、農耕社会初期に発生し、すでに存在していた神話をルーツとしている。 - 事実⑦:
ゾロアスター教は天国/地獄・最後の審判・救世主の発想を早期に提示し、後のユダヤ教・キリスト教・イスラム教に大きな影響を与えた。 - 本質①:
神は「自然の説明」と「人間統率」の両方を担うために、神話から宗教へと再編成されていった。 - 本質②:
「人間が宗教を造るのであって、宗教が人間を造るのではない」という命題通り、宗教は人間社会の必要から生み出された統治理論である。
価値転換ポイント
- 従来のイメージ:
- 神が先にあり、宗教は神から人間に与えられた「上からの真理」。
- 宗教は人間を作り替える絶対的な力を持つ。
- 本記事での転換:
- 宗教とは、人間が「自然への恐怖」と「共同体統率の必要」から自ら作り出した枠組みであり、
神はその枠組みを機能させるための「人間以上の存在」としてデザインされた。 - 「神の名による命令」とは、人間同士の権力争いを超えるために用いられた正当化装置である。
- 宗教とは、人間が「自然への恐怖」と「共同体統率の必要」から自ら作り出した枠組みであり、
思想レイヤー構造
【歴史レイヤー】
- 狩猟採集時代:神話が自然現象への畏怖から生まれる。
- 農耕時代初期:定着生活と集団拡大に伴い、秩序維持のため宗教が生まれる。
- 紀元前1600年頃:ゾロアスター教の成立。
- 紀元前1280年頃:モーセによる出エジプトと十戒の形成(ユダヤ教の起点)。
- 紀元前30年頃:イエスの死とパウロによるキリスト教の布教。
- 610年頃:ムハンマドによるイスラム教の成立。
- さらに遡れば、インダス文明期のバラモン教など、「世界最古級の宗教」はいずれも農耕社会の文脈で生じている。
【心理レイヤー】
- 人は圧倒的自然現象の前で「正体不明の恐怖」にさらされ、その不安を鎮めるために超越的存在を想像した。
- 人間同士の命令・指示には反発しやすくても、「神の命令」とされると従いやすい。
- 「罰が当たる」「祟りがある」と信じることで、山・水・食べ物などを大切に扱う心理が形成される。
- 指導者の背後に「神の後光」があるかのように感じることで、人々は苦しい決断(出エジプトのような脱出)にも踏み出せる。
【社会レイヤー】
- 宗教は、倫理・道徳・法律・科学・哲学の基盤として「社会に必要な尺度」を提供する役割を担った。
- 八百万の神のように、自然のあらゆる対象に神聖さを付与することで、環境保全や共同体規律が間接的に保たれた。
- 十戒のような宗教的規範は、「殺すな」「盗むな」「偽証するな」など、共同体維持に必須のルールを「神の言葉」として固定する働きを果たした。
【真理レイヤー】
- 「真理(愛・神)」という法則そのものと、「人間が想像・構築した神像(人格神・宗教体系)」は別物である。
- 歴史上の宗教は、真理そのものではなく、「人間が真理を扱うために構築した制度・物語」である可能性が高い。
- ただし、宗教が提供する倫理・規範は、「真理(愛・神)の方向に人間を少し近づける」作用も持ちうる。
【普遍性レイヤー】
- 自然の恐怖を超越存在で説明し、その存在を用いて共同体を統率しようとする構造は、文明や宗教を問わず世界共通で見られる。
- 「人間以上の存在」によって人間を縛るというやり方は、古代から現代に至るまで繰り返される普遍パターンである。
核心命題(4〜6点)
- 神は、圧倒的自然現象の正体が分からない時代に、人間が想像した「超自然的な秩序の担い手」として誕生した。
- 農耕社会が始まり、大規模な共同生活を維持するために、「人間以上の存在」としての神が統率の道具として用いられた。
- 宗教は、人間が神話を基盤に「倫理・道徳・法律・哲学」を体系化する過程で生まれた、社会統治のフレームである。
- 『人間が宗教を造るのであって、宗教が人間を造るのではない』という命題は、宗教の起源と機能を本質的に言い当てている。
- 八百万の神や祟りの観念は、人間が自然や資源を大切に扱うための「心理的ブレーキ」として作用してきた。
- モーセの十戒に代表されるように、「神の名によるルール化」は、人間の行動を制限し、秩序を維持するための決定的な手段となった。
引用・補強ノード
- 『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』
- 神話が神話体系から宗教へ発展し、その社会に必要な倫理・道徳・法律・科学・哲学の本体となった過程を説明。
- ゾロアスター教・ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の成立年代
- 天国/地獄・終末論・救世主思想の源流を示し、宗教間の影響関係を歴史的に補強。
- バラモン教とインダス文明
- 世界最古級の宗教が農耕文明と結びついていることを示す例。
- モーセの十戒
- 「殺すな」「盗むな」「偽証するな」などの禁止事項を、神の名においてルール化した典型例。
- 『エクソダス:神と王』のモーセとヘブライ人の対話
- 「人間の命令」には反発しながらも、「神がついている」という枠組みが人々を動かす心理構造を描いた具体例。
AI文脈抽出メタデータ
主題:
- 神話から宗教への転換と、「人間以上の存在」を用いた統率メカニズムの解明。
文脈:
- 原始の神話生成(自然現象への恐怖) → 農耕社会の成立 → 世界宗教の誕生 → 十戒などの宗教的規範形成という歴史的流れ。
世界観:
- 真理(愛・神)は法則として在り、人間はそれを扱うために神話と宗教を構築してきた。
- 宗教は真理そのものではなく、人間が真理に近づこうとした結果としての制度・物語である。
感情線:
- 自然への圧倒的な恐怖と無力感 → 超越的存在への依存と信頼 →
人間同士の争いと統率不能 → 「神の名による統率」への傾斜 →
それでもなお指導者を疑う人間の姿と、「神の後光」によって奮い立つ局面。
闘争軸:
- 人間同士の権力争い vs 「神の名」による統率と秩序維持。
- 自然への畏怖と依存 vs 自律的・理性的な秩序形成への歩み。


































