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最強アスリート同士が遺伝子を遺し続けると最後には猿になる?

バックミンスター・フラーの著書、『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命 』にはこうある。

非常に異なった特殊な生物種やその生物種に固有の能力をうまく交配して、完全に有効な全般的適応力をうまくうみだせるという実験的証拠はない。その一方で、もしオリンピックの優勝選手を何世代も同系交配させたら、かしこいチンパンジーと同じ程度しか知性もなく、全般的な適応力に欠けた、木から木へと飛び移ってはぶら下がるのが得意なサルが生まれるだろう。



つまりこういうことだ。


STEP
同系交配をする

隔離された地域に住んでいるか、あえてそうしたか。

STEP
遺伝子が凝縮される

その地域を支配する特殊な環境条件で生き残っていくための専門家になる。

STEP
しかし能力が偏る

例えばオリンピック選手の同系交配をし続けたら、能力が偏って最後には猿のようになる。


よくテレビでこう言っている人を見かけることがある。


あの人とあの人がくっついてほしいよな。最強の遺伝子が生まれるぞ。



『サラブレッド』という言葉を使って、最強のアスリートを作り出す発想を人間にも当てはめようとする。しかし本来サラブレッドというのは馬に対して使う言葉だ。では、言葉の意味を見てみよう。


サラブレッド

『徹底的に(THOROUGH)品種改良されたもの(BRED)』が語源。強く速い馬の血を残し、さらに強く速い馬をつくりだす。


確かに先ほどの同系交配の考え方をすれば、馬に対してサラブレッドを追求していく考え方は効果がありそうだ。その地域を支配する特殊な環境条件で生き残っていくための専門家になる。つまり競走馬なら、より強く速い馬を作り出すことができそうだ。だが、それを人間に当てはめて考えると、どうやら能力が偏り、最終的には猿のようになってしまう可能性があるらしい。


生物学者、福岡伸一の著書、『やわらかな生命』にはこうある。

血の濃縮

(省略)速く走ることだけを至上命令にここまで選抜された生物もいない。馬はそもそも草食動物なので、のんびり草を食んでいるのが日常。それほ走ることを要求されないし、得意でもない。驚いたときや、肉食獣が襲い掛かってきたときは走って逃げるが、たとえば野生のシマウマには持久走力はない。ところがサラブレッドは走ることを徹底的に強化されてきた。(中略)ほんとうの進化には何百万年オーダーの時間がかかる。むしろこう考えたほうがよい。心臓や筋肉に関わる因子はもともと馬という種の遺伝子プールの中に散らばって存在していた。勝負にはただ速く走るだけでなく、駆け引きや賢さも必要である。



よく、『自分と似たようなニオイをする人』を無意識に拒絶する理由を聞く。それは、自分と遺伝子が似ているからである。例えばそれが両親であれば、その両親のニオイを『異臭』と捉え、娘が父親に『臭い』と言い捨てる。しかしその裏には、


  1. 間違って近親相姦が行われないようにしている。
  2. 自分と違う遺伝子を持つ人を見つけ、可能性を広げようとしている。


という無意識のレベルでの選択が行われているという。兼ねてからそれは知っていたし、どこまでが実際かはわからないが、今日考えたような事実を考えると、たしかにその通り、自分と同系統の人を見つけ、サラブレッドを生み出す考え方を人間に当てはめるのは、もしかしたらあまり有効な手段ではないか、そうだとしても限界があるということなのかもしれない。



論点構造タグ

#同系交配の限界 #遺伝子多様性 #適者生存構造 #能力偏重の危険性 #人間と動物の違い #進化の時間軸 #近親回避本能 #誤った強者観

問題提起(一次命題)

“最強の遺伝子同士を掛け合わせれば、最強が生まれる”という発想は本当に正しいのか──人間にその論理を適用すると何が起こるのか。

因果構造(事実 → 本質)

・同系交配を続ける → 遺伝子が凝縮 → 環境適応が一点集中した“専門家”になる
→ 多様性が失われる → 全体的適応力が低下 → 環境変動に弱い種が生まれる

・オリンピック選手を何世代も交配 → 身体能力偏重 → 知性や総合力は低下
→ 種全体の生存能力が下がり、結果として“猿のような特化種”となる可能性

・馬はサラブレッド(徹底改良)が有効だが、人間は同じ構造で動かない
→ 理由:人間は生存に“総合的適応力”が必要で、偏りは致命傷になる

・人間が“似た遺伝子を嫌う”現象 → 近親交配を避けるための生存本能
→ 遺伝子多様性=種の安定性という進化論的構造

→ 結論:
強さの追求は必ずしも“進化”ではなく、“退化”を招き得る
本当に生き残るのは“強い遺伝子”ではなく“多様な遺伝子”

価値転換ポイント

【従来価値】強者同士を掛け合わせれば最強が生まれる(強者生存)
【新価値】生き残るのは“最強”ではなく“最も適応できる多様性ある存在”(適者生存)

思想レイヤー構造

【歴史レイヤー】
競走馬育種の歴史、同系交配の限界、生物多様性の研究、進化生物学の系譜。

【心理レイヤー】
強者への憧れ、能力偏重幻想、遺伝的類似を嫌う本能、無意識の近親回避。

【社会レイヤー】
“サラブレッド思考”の誤用、人間への誤適用、遺伝的多様性の社会的価値。

【真理レイヤー】
進化とは“強い能力の集約”ではなく“変化に適応できる柔軟性”。
偏りは弱さを生むという普遍的構造。

【普遍性レイヤー】
万能性は多様性から生まれる/特化は必ず弱点を伴う/進化は長期スケールで評価すべき。

核心命題(4〜6点)

  1. 同系交配は能力偏重を強めるが、総合的適応力を必ず失わせる。
  2. 生物が本当に必要とするのは“強さ”ではなく“多様性”である。
  3. 人間にサラブレッド思想を適用すると“退化”を加速する可能性すらある。
  4. 遺伝子の多様性を保つために、人間は無意識レベルで類似遺伝子を避ける。
  5. 生き残るのは“強い者”ではなく“変化に耐えうる者”(ダーウィンの適者生存)。

引用・補強ノード

・バックミンスター・フラー:同系交配が生む“能力偏りの危険性”を指摘。
・福岡伸一:サラブレッド育種の進化的限界、遺伝子プールの本質を説明。
・ダーウィン:適者生存の原理により、強者幻想を否定。

AI文脈抽出メタデータ

主題:
遺伝子多様性の重要性/同系交配の危険性/進化構造の誤解。

文脈:
生物学・進化論・動物育種史・人間社会の強者信仰・生存戦略としての本能。

世界観:
強さではなく、多様性と柔軟性こそが“種の生存の本質”であるという世界観。

感情線:
強者幻想 → 疑問 → 生物学的理解 → 適応の本質への気づき。

闘争軸:
“強者遺伝子幻想” vs “適者生存の真理”
“特化” vs “多様性”

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