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男に生まれたからには避けられない戦いがある!あってはならない戦争と、戦う使命を負ったこの世の男たち

『男として生まれた意味』

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を単位とする『十進法』の貨幣制度を整えた。その後新政府は、

 

  1. 欧米の視察と条約改正交渉
  2. 国内の諸制度の整備

 

という二つのグループに分かれ、前者には『岩倉使節団』として、

 

  1. 岩倉具視
  2. 大久保利通
  3. 木戸孝允
  4. 伊藤博文

 

といった有力な人材を起用。1871年12月、横浜を出港してアメリカやイギリスなどの西洋諸国を歴訪し、不平等条約改正の交渉を試みた。しかし、岩倉具視が天皇の委任状を忘れてしまい、主目的は果たせなかった。岩倉は帰国後大恥をかくことになったが、いやそれは人間らしいというものだ。前述した加山雄三の話を聞けばわかるように、彼は一流の『人間』だったのだ。

 

[左から木戸孝允、山口尚芳、岩倉具視、伊藤博文、大久保利通]

 

それがあってもなくても、どちらにせよ欧米諸国が有利な条件を手放すとは言い難い。しかし、多くの人材がこの西洋文化に触れられたことは、いい経験となった。この使節団には『5人の女子留学生』も同行していて、そこには次の新紙幣の顔となる津田梅子の姿もあった。彼女は当時まだ6歳。その大きな経験からか、帰国後に『女子英学塾(元津田塾大学)』を創設した。

 

また、『留守政府』と言われた国内事情を任せたのは、

 

  1. 西郷隆盛
  2. 板垣退助

 

といったメンバーだ。彼らがまず行ったのは身分制度の改革。

 

大名、公家 華族
武士 士族
農工商ら庶民 平民

 

という形にし、平民でも名字が名乗れるようになった。また、『四民平等』として、異なる身分間での結婚や、職業選択、移住の自由が与えられた。しかし冒頭の記事で近藤勇土方歳三、新選組を引っ張ったこの二大巨頭が、最後の最期まで武士道精神を貫いた、日本最後の『刀で戦った本物の武士』と言えるかもしれないと書いたが、やはり武士の時代はここから急速に終焉の方向へと進むようになる。

 

 

最初は150万人もいる武士を政府の部下として雇っていたが、それだけでも多大な金額になる。そこで、一時金を受け取れる尚書を渡して家禄を廃止する改革を断行。武士は元々、自警団的に畑を守るところから生まれ、それが力をつけて源氏、平氏という有力武家を生んだ。そしてそれが戦国時代を作り、新選組等の幕末の志士の戦いを生んだわけだが、時代はもう『鉄砲』だ。坂本龍馬高杉晋作から拳銃を受け取っていたが、彼が生きていても、

 

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と言ったことだろう。近代国家を成立させるには、官僚制の整備や常備軍設立が不可欠だった。1873年には『徴兵令』を交付し、国民の兵役の義務を負わせた。この『国民皆兵』によって近代的な軍を整備していった。ただし最初は、

 

  • 主体性のある武士
  • 主体性のない平民

 

といった各方面から反発が生まれた。一方は仕事を奪われ、一方は強要されるわけだ。しかし、海外という強豪と対等にやり合うには国民全体のレベルを引き上げる必要があった。これで、満20歳に達した男性は、士族や平民に関係なく、3年の兵役を負うようになったのだ。

 

私も最初に日本のこの時代の話を聞いたときは嫌な気持ちがしたが、こうして歴史を一から学びなおし、世界で『鍛えなかったからこそ敗北し、植民地化された、あるいは戦争に負けて苦しい思いをした』事例をいくつも見ているので、上からの視点が理解できてしまい、そうした下からの視点は『平和ボケ』であるという一つの見解を見出せるようになった。

 

下記の記事に書いたように、この時考えるべきなのはイギリスの哲学者、トマス・ホッブズが言った『リヴァイアサン』である。下記の記事では『戦国時代』に突入する段階でこの話を考えるべきだったが、今回のこの『国民皆兵』を考える際においても、これが頭に浮かぶことになる。

 

 

ホッブズは『社会契約論』を主張して、国家がいかに必要であるかを説いた。彼は『リヴァイアサン』というドラゴンを用いて、どのように国民にそれを説明したか。リヴァイアサンというのは、旧約聖書に出てくる海の怪物のことだ。ホッブズはこの怪物をその著書のためのメタファーとして使い、国家の必要性を説いた。

 

ドラゴン

[画像]

 

茂木健一郎氏の著書『挑戦する脳』にはこうある。

『リヴァイアサン』の中で、ホッブズは、人間はもともと『万人の万人に対する闘争』の状態にあったとした。誰もが自らの生存を目指し、利益を図り、そのためには他人を犠牲にすることを厭わない。そのような『自然状態』は余りにも耐えがたいので、人間はそのもともと持っていた自然な権利を『政府』に譲り渡す。そのようにして形成された政府は一つの『リヴァイアサン』として自由に意思を決定し、行動するようになる。

 

つまり、人間には元々『リヴァイアサン』のような猛獣的なエネルギーが備わっていたが、それを野放しにすることは耐え難いと考え、政府に譲り渡し、自分の代わりに政府に『闘って』もらうようシステム化したわけだ。『自分は闘いたくないから』である。

 

もともと自由で、あらゆる権利を持っていた人間たちが、『万人の万人に対する闘争』を避けるために、契約を結んで権利の一部をリヴァイアサンたる『国家』に譲り渡す。国家の秩序を成り立たせているのは『法』である。国家は法を定め、個人は法に従う。個人は、法に抵触しない限りにおいて、自由に行動することができる。一方、国家の行為については、そのような縛りがない。まさに地上に存在する唯一の『リヴァイアサン』として、国家は自らの行動を選択し続けるのだ。

 

つまりこういうことだ。

 


STEP.1
人間には元々『リヴァイアサン性(猛獣性)』がある

STEP.2
しかしそれがあると何かと不利益である
例えば、『生きるためのあらゆる戦い』をしなければならない。

STEP.3
だからそのリヴァイアサンは政府に譲り渡す

STEP.4
政府は個人の代わりにリヴァイアサン性を発揮する
例えば、国家同士で取引を行ったり、戦争やテロの報復をする。

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ホッブズはそのピューリタン革命の後、『国』の存在自体を疑問視した人々が現れる中、この話を持ち出し、

 

ホッブズ
だから、国は必要なんだよ!我々が国にやってもらっていたことがあるんだ!

 

と主張し、人々の精神面を助けたわけだが、そして戦国時代の時に注目したのは『人間には元々『リヴァイアサン性(猛獣性)』がある』という部分である。つまりこういうことだ。

 


STEP.1
上(貴族、将軍、有力守護大名)が国を統治する

STEP.2
下(国人、庶民等)は何もしなくていい

STEP.3
上が仕事を放棄する

STEP.4
徐々に下の『リヴァイアサン性』が目覚める

STEP.5
一揆、革命が起きる

 

人間には元々『リヴァイアサン性(猛獣性)』がある』のに、中央(政府)、上(貴族、将軍、有力守護大名)それをないがしろにしてしまった。しかし、それによって地方、下(国人、庶民等)の人々のリヴァイアサン性が徐々に目覚めてきて、そして一揆や革命、この時代なら戦国時代の幕開けとなった。

 

 

この幕末とて同じだ。戦国時代を制した、織田信長豊臣秀吉徳川家康。そしてその家康、秀忠、家光が徳川家の圧倒的な基礎を作り、それから15代将軍まで徳川家の江戸幕府は続くわけだ。しかし、途中からこの『創業者一族』の腐敗が目立つようになる。それもそのはず、実力があるのはゼロから作り上げた家康と、その息のかかった数名だけだ。後は素人同然。それが現実なのである。

 

するとどうなる。そうした中央の腐敗に気付いた地方(藩)の面々が、徐々にそこに不満を持ち始める。西郷隆盛、木戸孝允、高杉晋作、坂本龍馬、大久保利通、伊藤博文、こうした幕末の志士たちは、吉田松陰橋本佐内といったキーパーソンを殺されたことで完全にリヴァイアサン性を爆発させた人物だった。

 

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もちろん、伊藤仁斎や、佐藤一斎といった人物の影響もあるだろう。彼の門下生にはこれだけの人物がいる。

 

 

その数は6000人ともいわれているが、そうした思想家たちが人々の奥底に眠るリヴァイアサンを揺り動かし、潜在能力を引き上げていった。

 

[佐藤一斎]

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今回考えるべきなのは、

もともと自由で、あらゆる権利を持っていた人間たちが、『万人の万人に対する闘争』を避けるために、契約を結んで権利の一部をリヴァイアサンたる『国家』に譲り渡す。

 

という部分。つまり、本来戦って自分とその身の回りの平和を勝ち取るのは、『権利』であり、『義務』だったのだ。それを国家に譲り渡すことによって自身は『戦う権利とそこで味わう背徳感等の義務を譲る代わりに、納税の義務を負い、自由な生活という権利を得る』構図が成立していたのである。

 

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いいだろう。我々がそなたらの代わりに国家の運営をしよう!

 

したがって、まず第一にその図式を思い出すことが重要なのだ。元々は、自分たちの身は自分たちで守らなければならなかった。そして、外国の脅威から身を護るという未曽有の危機に晒されている今、それぞれが主体性を持ち、『殺されてから、苦しい思いをしてから気が付く』のでは遅いという事実を知るべきなのである。

 

その証拠に、この後起こる『日清戦争((1894年7月25日 – 1895年11月30日)』では、日本が清に勝つことになる。しかし、日清の軍事力は、同等だったのだ。では一体なぜ勝てたのか。それは下記の記事でも書いたが、その『主体性』だったのである。

 

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もちろん戦争などそもそもがあるべきではないが、それは当時の人からすれば単なる『平和ボケ』である。ガンジーらのように、非暴力を訴えて、どんなに殴られても意志を変えない強さが国民全員にあるのであればいいが、あったとしても、それを無視して強行突破されるのが戦争である。戦争はあってはならない。だが、すぐそこまで戦争が迫っているのに見てみぬふりをするのは、現実逃避である。自分がやらなければ誰がやる。女性や子供が戦を強いられるわけでもないし、男に生まれた以上は戦うことは想定の範囲内だと覚悟するべきである。

 

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紀元前480年。映画『300』の舞台となったことでもギリシャとペルシャの戦争がある。ギリシャのスパルタはカルネイア祭によって全軍を出仕できず、レオニダス王率いる先遣隊300のみを派遣した。つまり、レオニダス率いるスパルタ軍300人の精鋭たちが、100万人以上のペルシャ軍を相手に、戦いを挑む雄姿を描いた映画だ。不気味で巨大なペルシャの王、クセルクセスも見ることができる。

 

いわゆる『スパルタ教育』がどうとか言って騒いでいる現代人には、およそ彼らの境地に到達することはできないだろう。生きるために強くなければならなかった。スパルタ軍の男たちの生きざまを、この映画で十分に想像することができる。

 

 

何度も言うが、戦争などあるべきではない。だが、いざ戦争が目の前にあるとき、放っておけば誰か大事な人が死ぬ。そういうときに、自分がやらなければ誰がやるというのだ。そして、いざというその時の為に主体性を持って心身を鍛える。それは、ギリシャから遠く離れたこの武士道精神が眠る日本においても、同じことなのだ。

 

私はこのサイトで実に8000もの名言を内省したが、その中で男として生きる私が最も好きな言葉がこれだ。

 

この言葉の意味が分からない男は、『男』とは言えないだろう。また、もしこの言葉を言った人間が『漫画のキャラクター』だからということで、

 

なんだ、ファンタジー好きの夢想家の戯言かよ。

 

と思ったのであれば、そこにいるのは漫画やキャラクターやそのセリフが『漫画家という人間』の手からではなく、フッと突然この世に魔法のように現れると思い込んでいるファンタジー好きの夢想家である。

 

何度も言うが、戦争などあってはならない。

 

 

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中田敦彦のyoutube大学

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