ハニワくん先生、質問があるんですけど。
先生では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。
ハニワくんなるほど!
博士も、もっと詳しく教えてくだされ!
ブッシュ時代の裏番長はディック・チェイニー副大統領でした。
その『ブッシュ&チェイニー』時代(2001~2009年)は、
・9.11
・アフガニスタン侵攻
・民主主義拡大志向
・リーマンショック
といった様々な問題によって、アメリカの威信が傾いてしまった時代でした。
オバマ大統領はその遺産を受け継ぐわけですから、まず彼がやらなければならなかったことは、その『失われた威信』を取り戻すことでした。オバマ大統領はアメリカ合衆国大統領としては初めて核廃絶に向けた『核兵器のない世界(核なき世界)』の演説を行い、2009年のノーベル平和賞はオバマ大統領が受賞。また、彼は『オバマケア』という低所得者に対する医療保険制度改革を行いました。しかし、これらの対策はあまり有効打にならず、オバマ時代は『空振り』の印象を与えました。
トランプ大統領は、その『オバマケアの廃止』を公約に掲げ、TPP離脱などの保護主義、極端に排外主義的(アメリカファースト)な政策を取りました。これによって国内の支持を得ることに成功しますが、この政策がどう出るかを疑問視する声も多くあります。
・トンキン湾事件捏造
・大量破壊兵器があると主張して強行突破
このような先例があるアメリカは、2019年に起きた日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けた『ホルムズ海峡タンカー攻撃事件』で悪い噂が上がっています。アメリカもその地位を維持するために様々な手段を使うでしょうが、いつまでこの世界の覇権をアメリカが握っているのかが注目されています。一つ言えるのは、永久に一つの国(帝国)が世界を支配した歴史は存在しないということです。
博士うーむ!やはりそうじゃったか!
ハニワくん僕は最初の説明でわかったけどね!
先生更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ジョージ・W・ブッシュ政権


上記の記事の続きだ。このようにしてレーガンが『落ち込みかけたアメリカ』を『強いアメリカ』にすると主張し、ブッシュに繋げた。そしてレーガン、ブッシュ、クリントンの時代にアメリカの『ソフトパワー』が影響力を持ち、アメリカの覇権は強固なものになっていく。だが、2001年9月11日、イスラム過激派組織アルカイダによって『アメリカ同時多発テロ事件』が勃発。クリントンの次の第43代大統領、ジョージ・W・ブッシュは、『テロとの戦い』を宣言し、テロ首謀者の引き渡しに応じなかったアフガニスタンを攻撃した。


大量破壊兵器はなかった
そして2003年には『イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有している』として、国連の承認を得ないまま『イラク戦争(2003年3月20日 – 2011年12月15日)』を開始。イラクのフセイン大統領はすぐに捕らえられ、拘束された。


だが、実はイラクで大量破壊兵器は見つからなかった。国連の承認も得ずに暴走し、ある種感情的に突っ走って『報復』をしたアメリカの威信は、大きく傷つく結果になってしまった。
民主主義国家と反米国
更にジョージ・W・ブッシュは、
ブッシュ民主主義の理念を世界に広めよう!
と主張し、中国やロシアに反発される。中国は、毛沢東が『プロレタリア文化大革命』を起こし、鄧小平の時代に『天安門事件』が起きた。以来、『経済は自由だが、政治は一党独裁を続行』というスタンスを維持したまま、胡耀邦政権、習近平(しゅうきんぺい)政権に受け継がれている。

ソ連は、経済危機に伴う国力の低下によって東ヨーロッパでの影響力を弱め、市民や労働者によって共産主義政権が次々と倒された一連の民主化革命『東欧革命』である、
- 1989年11月のベルリンの壁の崩壊
- 12月のルーマニアの政変
- 同月のチェコスロバキア共産党の一党支配の崩壊
- 90年9月のポーランドの非共産党系内閣の誕生
が起き、世界的に民主化が活発していた流れを受けて、民主化に至った。ソ連が崩壊し、『ロシア連邦』となり、ロシア初代大統領エリツィンは、資本主義体制へ急速に舵を取り、ロシア経済の停滞と混乱を招くが、現在も大統領であるプーチンの政権になると、資源輸出を利用して経済を回復させ、再び強国ロシアへと力をつけ始めている。

しかし中国もロシアも、完全な民主主義国家ではない。それに、元々両国は『反米』的思想を持っている。だからアメリカは東アジア地域にある『反米地域(北朝鮮、中国等)』対策の為に『サンフランシスコ講和条約(1951年)』を結び、ワシントンで『日米安全保障条約(1960年)』を締結し、日本を東アジアにおけるアメリカの有力な同盟国にしたのだ。

リーマンショック
更に2008年の『リーマンショック』だ。リーマン=ブラザーズの破綻をきっかけに、アメリカの経済危機が世界に波及した。『世界的株価暴落』は全部で三つある。
- 1929年の暴落
- 1987年の暴落
- 2008年の暴落
だ。そのうちの一つは下記の記事にも書いた『世界恐慌』である。

1987年10月19日の暴落はブラックマンデーとよばれる、香港を発端に起こった世界的株価大暴落である。

下記の記事にレーガンの『レーガノミクス』と『双子の赤字』について書いたが、この暴落にもやはりアメリカが関係していた。レーガノミクスや、『イラン・イラク戦争』の影響が少なくともこの暴落に関係していたからだ。

だが、『第二次世界恐慌』と言われたのは2008年の『リーマンショック』だった。リーマン・ブラザーズは、負債総額約6000億ドル(約64兆円)というアメリカ合衆国の歴史上、最大の企業倒産により、世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招いた。映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』では、この金融危機を事前に察知した4人のアウトロー(株式市場)を中心にこの事件を見ることができる。
住宅市場は安定している。
誰もがそう思っていて、だからこそこういう事件に発展した。つまり、それを見破ることができるような人なんて、アウトロー(無法者、非常識人)しかいなかったということだ。
『バイス』ディック・チェイニー
そして、映画と言えば『バイス』だ。この第43代大統領、ジョージ・W・ブッシュは、第41代大統領であり、父親のジョージ・H・W・ブッシュとは違ってかなりの『問題児』だった。それはこの映画を観ればわかるだろう。
ジョージ・W・ブッシュは、父親の時に国防長官だったディック・チェイニーを副大統領(バイス・プレジデント)にしたいと直談判。だが、チェイニーは彼のポテンシャルをよく理解していたので、当然のようにそれを断る…。と思いきや、そこがチェイニーだ。
むしろこれは私が裏でアメリカを操るチャンスだ
ととらえたのである。
続きは映画のお楽しみとして、とにかくこの『ブッシュ&チェイニー』時代(2001~2009年)は、
- 9.11
- アフガニスタン侵攻
- 民主主義拡大志向
- リーマンショック
といった様々な問題によって、アメリカの威信が傾いてしまった時代だった。
オバマ政権
そして、2009年からオバマ大統領の時代になる。彼はもちろん『ブッシュ&チェイニー』の遺産を受け継ぐわけだ。まず彼がやらなければならなかったことは、その『失われた威信』を取り戻すことだった。

核なき世界
2009年4月、オバマ大統領はアメリカ合衆国大統領としては初めて核廃絶に向けた『核兵器のない世界(核なき世界)』の演説を行い、
- ロシアと新たな戦略兵器削減条約
- 包括的核実験禁止条約の批准
- 核拡散防止条約の強化
- 核管理に関する首脳会議
などを提唱した。更に2009年7月の米ロ首脳会談では、
- 戦略核弾頭の上限を現状の2500前後から1500~1675へ
- 核弾頭の運搬手段を現状の1600から500~1100へ
削減する事を合意した。この『核なき世界』は2009年9月24日に国連安保理の首脳会合でも全会一致で採決され、同年10月9日には、これらの功績を含め、2009年のノーベル平和賞はオバマ大統領が受賞した。この演説でイラクから撤退することを主張。2011年に米軍が撤退すると、イラクで宗派対立が激化し、そこから『イスラム国を名乗るIS』が現れる。それに、アメリカ自身は、

核兵器を一定数保有し続ける。
と明言しているから、『核なき世界』、そして『パクス・アメリカーナ』の時代の継続の意志は消えていないだろう。
オバマケア
また、オバマ大統領は『オバマケア』という低所得者に対する医療保険制度改革を行った。アメリカには国民皆保険制度がなく、民間の医療保険が中心。例えば、日本ではみんな『国民健康保険』を持っているはずだが、あのおかげでいざ病気にかかったとき、安く治療ができるわけだ。しかしアメリカではその制度がない。つまり、もし病気や怪我を負ってしまった場合、その医療費を自分で全額負担しなければならないのだ。
したがって、アメリカの自己破産の原因で最も多いのは『医療費の未払い』である。アメリカの自己破産の6割は医療費が原因で、さらに、その医療費が原因で破産した者の8割は医療保険に入っていたとも言われている。それくらい日本とはまるで違う保険事情を抱えているのがアメリカだったのだ。

各州の無保険人口の割合(アメリカ合衆国国勢調査局、2009年)
- こげ茶:20–27%
- 茶色:16–20%
- 黄土色:14–16%
- ベージュ:10–14%
- クリーム:4–10%
そこでオバマ大統領は『オバマケア』を導入。2010年全国民の医療保険加入を義務付けた。しかし、保険料が値上がりしてしまい、有効打にならなかった。共和党はオバマケアのような弱者救済には強く反発していて、トランプ政権は選挙戦で『オバマケアの廃止』を公約に掲げた。
トランプ政権
そして2016年からトランプ政権になった。TPP離脱などの保護主義、極端に排外主義的な政策の影響が懸念されている。

アメリカファースト
トランプが取った政策は、
- 中国製品に45%の課税を課す
- TPP離脱
- メキシコからの不法移民の取り締まり強化
- 難民の受け入れ制限
という保護主義的な政策。こういった保護主義(保護貿易主義)は『重商主義』と言われる。『重商主義』を実行した例は以下の記事に書いた。1650年頃のフランス、『太陽王』と呼ばれたルイ14世の時代だ。財務総監のコルベールが行った『重商主義』は絶対王政に大きな貢献をした。体制を維持するためには、巨額の資金がいる。そこで、以下の政策を実行。
- 外国製品の購入を制限し、国内生産力を伸ばし、国力を上げる
- 金、銀、貴金属等の獲得と貯蔵と同時に、輸出を促進して貿易収支を黒字にする
- 領土拡大にも力を入れて、54年の親政の内の実に34年を戦争に費やす
これによって、国内にリソース(資金、財源)を蓄積することに成功したのである。

そしてその対義語である『自由放任主義(自由貿易主義)』は、『世界恐慌』の時代に、
- ウォレン・ハーディング(第29代大統領)
- カルビン・クーリッジ(第30代大統領)
- ハーバート・フーヴァー(第31代大統領)
といった大統領が取った政策だ。

TPPを離脱すれば、かつてのフランスのように国内にリソース(資金、財源)を蓄積することができる可能性がある。しかし、国内ばかりに目を向けることはデメリットもあり、外国の反応は悪くなってしまうわけだ。それが『排外主義』的な考え方ということである。この裏には、アメリカの製造業が安価な労働力を求めて海外に工場を移転した結果、国内の産業が衰退し、失業者を生んだ事実も大きく関係していた。トランプのこうした保護主義対策は、自由貿易主義の『共和党』の本流から外れているにも関わらず、白人の労働者層、中間層の支持を獲得したのである。

だが、輸入品に高い関税を課すと物価の上昇を招き、消費者の負担が増し、かえって国内経済の停滞が悪化する可能性も示唆されている。アメリカは今、
- 文明間の対話こそが必要
- 強いアメリカを誇示しながら力の政策を推進せよ
という意見の間で揺れている。
強いアメリカ再び
かつて、フランスで『王様』をギロチン刑に処してしまったとき、王がいなくなり、一時弱体化してしまった。弱いリーダーシップではこの窮地を脱することはできそうにもない。そこに現れたのがフランスの軍人であり政治家、ナポレオン・ボナパルト、つまり『ナポレオン(在位:1804年 – 1814年、1815年)』である。


アメリカは『ブッシュ、オバマ』と下降気味かつ弱気になっていた機運を覆そうと、事実下馬評を覆してヒラリー・クリントン(民主党)ではなく、トランプ(共和党)を大統領に掲げたのだ。
事実、2019年8月現在トランプ大統領は、
- 大減税
- オバマケア強制加入見直し
- 規制廃止
- エネルギー開発
- 国教壁建設
- パリ協定離脱
- 核合意見直し
- エルサレム首都移転
- その他の保守的なイシュー
に関し、大統領令や議会策を駆使して実現に漕ぎつけている。政権発足当初2年間で教阿藤多数の上下両院の力を背景とし、トランプ政権は通常の政権では何年かかっても通過させることが困難な政策をいくつも実現させたのである。
ホルムズ海峡タンカー攻撃事件
だが、2019年6月13日の現地時間早朝に、中東のホルムズ海峡付近で日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けた『ホルムズ海峡タンカー攻撃事件』で、トランプ大統領はTwitterでこうツイートした。
アメリカとイランとの関係は下記の記事に書いたとおりだ。『イラン革命』で中東の『親米派』として確保できなかったアメリカは、イランの代わりにイラクを選び、そして『イラン・イラク戦争』へとつながった。それ以来、イランとアメリカの関係は好ましくない。


トランプ大統領は戦争になった場合、
というあまり外交では使わない過激な言葉を用いてイランを牽制する。アメリカは、事件直後からイランの革命防衛隊の犯行であると主張し、それらが火被害を受けたタンカーから水雷を取り除く様子を記録した映像まで公開し、犯行をイランによるものあと断定してきたのだ。さらに、アメリカの無人探査機が撃墜されたことでトランプ大統領はイランへの態度を硬化させ、対イランの有志連合結成を世界各国に呼び掛けた。
だが、結局それに反応する国が現れなかった。実は、兼ねてからこのアメリカの主張が『怪しい』と考えられてきていた。実は、その事件があったとき、日本の安倍首相はまさにイランにいた。そして、イランの最高指導者ハメネイと会談していたのだ。しかし、事件を聞いても慌てず冷静に対処し、目の肥えた日本陣営が彼ら、あるいはイラン全体を観察するところ、どうもイラン側に怪しいところはなかったというのだ。

むしろ、
阿部首相が訪問してくれて本当にありがたい。これからロウハニ大統領は中央アジアのキルギスで中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と会う予定がある。その直線に安倍首相から重要な話を聞けて、中ロとの対話に深みが出る。
と感謝されたという。大統領周辺が日本をそれだけ重視しているのだ。そういう状況下の中、イランが日本を相手に妙な事件を起こすのは考えにくいという。
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
国連の承認も得ずに暴走し、結局イラクで大量破壊兵器は見つからなかった例で見たように、アメリカはどうも『画策』するのが好きらしい。実は、1964年の『トンキン湾事件』では、当時のジョンソン大統領がベトナムのトンキン湾を巡視中の米国の駆逐艦が行来攻撃を受けたとして宣戦布告し、ベトナム戦争に発展した。だが、後にその事件はアメリカの捏造だったことがわかったというのである。

wikipediaを見てみよう。
これをきっかけに、アメリカ合衆国連邦政府は本格的にベトナム戦争に介入、北爆を開始した。アメリカ合衆国議会は、上院で88対2、下院で416対0で大統領支持を決議をした。しかし、1971年6月『ニューヨーク・タイムズ』が、いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」を入手、事件の一部はアメリカ合衆国が仕組んだ物だったことを暴露した。
これは映画にもなっている。2大オスカー俳優メリル・ストリープ、トム・ハンクスがスティーヴン・スピルバーグ作品で初競演を果たした話題作、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』である。かなり見応えのある映画だ。
先ほどのイラン革命防衛隊の映像も、アメリカの軍事衛星の能力をもってすれば、爆弾を仕掛け、回収し、持ち帰る先まで追跡することができるはずだが、公開された映像は『回収中』の映像だけだった。このあたりもどうにも怪しいところだと疑われているのである。
- トンキン湾事件捏造
- 大量破壊兵器があると主張して強行突破
やはりこのような先例があり、アメリカとイランの関係性を見る以上、どうもアメリカは信憑性に欠けるところがあるわけだ。
世界最大のシェールガス大国
2010年6月のマサチューセッツ工科大学の研究では、将来天然ガスはアメリカ合衆国のエネルギー需要の40%(現在は20%)をまかなうようになると報告された。この理由のひとつとしてシェールガスの豊富な供給量があげられている。2013年2月、米国での天然ガス生産は2012年にロシアを超え世界最大になった。実に、世界の3分の1を生産していることになるわけだ。アメリカは2020年までに輸出国になると予想されている。

世界最大のエネルギー生産国になったアメリカは、中東原油を軽視し始めている。このような背景からトランプ大統領は、
とツイートしている。これは私の完全な思い付きで何の信憑性もないが、もしアメリカがこう考えていたらどうだろうか。
イランで事件が起こってイランの信頼がなくなれば、イランとの原油取引をしているところが、アメリカとのガス取引を検討するかもしれないな。
そうなれば、対イラン対策になり、アメリカに利益も入り(取引先が増え)、一石二鳥だ!

もちろんこれは今私が勝手に思いついた無意味なシナリオだが、今までのアメリカの『堂々たる捏造』の先例を考えると、やりかねないと思うのは私だけではないはずだ。先ほど『ロシアを超え』というキーワードがあったが、それはつまり、ライバルであるロシアにもシェールガスが豊富に存在するということになるのだ。
果たして、今後『パクス・アメリカーナ』の時代はいつまで続くのだろうか。そしてそれを打破する国は現れるのだろうか。多くの人の本音は『平和』だ。この現状を覆す際に争いが行われるようであれば嫌だし、かといってアメリカがその覇権の維持の為に越権行為をすることも認められない。この世界に平和が訪れるとしたら、それはどういうときなのだろうか。
もちろん私は以下の記事でその答えを出しているが、それが『自然発生的に』実現される日が来ることはないだろう。人間はいつも、まずは自分のやりたいようにやり、そして失敗してから学び、試行錯誤しながら徐々に軌道修正してきたからだ。いきなりスパンと世界平和の日がやってくることはないのだ。

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論点構造タグ
- 「テロとの戦い」が招いたアメリカ威信低下と民主主義の空洞化
- ブッシュ/オバマ/トランプ三代で揺れる「強いアメリカ」の像
- 大量破壊兵器・トンキン湾など、戦争正当化の“捏造体質”
- パクス・アメリカーナの持続条件としてのエネルギー覇権(シェールガス)
- 自由貿易 vs 保護主義(重商主義)を往復するアメリカ経済戦略
- アメリカファーストと文明間対話のあいだで揺れる世界秩序
- 「帝国は必ず終わる」という歴史法則と、世界平和への別ルート(Inquiry)
問題提起(一次命題)
- 9.11以降のブッシュ・オバマ・トランプ三政権は、アメリカの覇権と「強いアメリカ」のイメージをどう変質させ、パクス・アメリカーナは今後どこまで続き得るのか。
- その過程で、アメリカはどこまで「越権行為」と「捏造」を重ね、世界はそれにどう付き合わされているのか。
因果構造(事実 → 本質)
1. ブッシュ政権:テロとの戦いと威信の失墜
- 2001年:9.11同時多発テロ → 「テロとの戦い」を宣言。
- テロ首謀者引き渡しに応じないアフガニスタンを攻撃。
- 2003年:イラクが大量破壊兵器を持つと主張し、国連承認なしにイラク戦争開始。
- しかし大量破壊兵器は見つからず、「報復」と「捏造」の色彩が濃くなり、アメリカの道義的威信は大きく傷つく。
- 背後には副大統領ディック・チェイニーの強い影響(映画『バイス』)。
→ 「民主主義の拡大」と言いながら、国際法無視・情報操作による軍事介入を行う二重構造が露呈。
2. 民主主義拡大と反米陣営の硬化
- ブッシュは「民主主義の理念を世界に広める」と主張。
- 中国:経済は自由化しつつ政治は一党独裁(天安門以後)。
- ロシア:ソ連崩壊後の混乱を経て、プーチンが資源輸出で再び強国化。
- 両国とも完全な民主主義とは言い難く、かつ歴史的に反米的。
→ 「民主主義 vs 権威主義」の対立軸を強調するほど、反米陣営の結束と正当化材料を与える結果にもなった。
3. リーマンショック:第二次世界恐慌級の金融崩壊
- サブプライムローン問題からリーマン・ブラザーズ破綻 → 世界連鎖的信用収縮。
- 1929年・1987年・2008年という世界的株価暴落の中でも、2008年は「第二次世界恐慌」と呼ばれる規模。
- 「住宅市場は安定している」と信じた大多数と、それを見抜いた少数のアウトロー(『マネー・ショート』)。
→ アメリカ発の金融工学・自由市場信仰が、世界経済全体を巻き込むリスク源であることが明確になる。
4. オバマ政権:失われた威信を取り戻せなかった「核なき世界」
- ブッシュ&チェイニーの遺産(イラク・アフガン・テロ・金融危機)を引き継いで政権スタート。
- 2009年:「核兵器のない世界」を掲げ、核削減・CTBT・NPT強化などを提唱 → ノーベル平和賞受賞。
- しかしアメリカ自身は核を維持する姿勢を明言し、「核なき世界」は理念止まり。
- イラク撤退後には宗派対立が激化し、ISが台頭。
→ 「綺麗な言葉」と現実のギャップが広がり、パクス・アメリカーナの実効性は回復しきれない。
5. オバマケア:医療破綻構造への部分的挑戦
- アメリカには国民皆保険がなく、医療費自己負担が自己破産の最大要因(破産の6割が医療費原因、その8割が保険加入者)。
- オバマケアで全員の保険加入を義務化するが、保険料高騰など副作用も大きく、「決定打」にはなれず。
- 共和党は弱者救済策に強く反発し、トランプはオバマケア廃止を公約に。
→ 社会保障を通じた「内側からの強いアメリカ」は構造抵抗が強く、政権交代で簡単に揺らぐ。
6. トランプ政権:アメリカファーストと保護主義の復活
- TPP離脱、中国製品に高関税、不法移民取り締まり強化、難民受け入れ制限。
- 重商主義的「国内に資源・雇用を取り戻す」戦略で、白人労働者・中間層の支持を獲得。
- しかし高関税は物価高・消費負担増・貿易摩擦・同盟国との不信を招くリスク。
→ 共和党本流の自由貿易路線から外れつつも、「強いアメリカ再び」という物語で国内支持を維持。
7. 戦争正当化の捏造体質:トンキン湾からホルムズ海峡まで
- トンキン湾事件:北ベトナムの攻撃とされた事件が、後にアメリカの仕組んだものと暴露(ペンタゴン・ペーパーズ)。
- イラク戦争:大量破壊兵器保有を理由に侵攻するも、実際には存在せず。
- ホルムズ海峡タンカー攻撃事件:イラン革命防衛隊の犯行と主張するが、証拠映像は「回収中」の場面のみ、日本の現地観察とも食い違う。
→ 「地位維持のためなら捏造も辞さない」というアメリカの体質への世界的な不信が蓄積。
8. シェールガスとエネルギー覇権:中東軽視と新たな打算
- アメリカはシェールガス生産で2012年にロシアを超え、世界最大の天然ガス生産国へ。
- 2020年までに輸出国になると予測され、中東原油への依存度は低下。
- トランプは「なぜ我々がタダで他国のシーレーンを守るのか」とツイートし、他国の自前防衛を促す発言。
- 仮説として、「イランの信用失墜→イラン産原油離れ→アメリカ産ガスへのシフト」という構図も想定し得る。
→ エネルギー覇権を握るアメリカは、中東情勢を「安全保障+市場戦略」の両面から見る立場に。
9. 終わらないパクス・アメリカーナと歴史法則
- シェールガス・軍事力・ドル・ソフトパワーを持つアメリカは、依然として世界最大級の覇権国。
- しかし、トンキン湾・WMD・ホルムズなどの前科、ブッシュ〜オバマ〜トランプと続く「越権行為」と「内向き志向」が、覇権の正当性を削る。
- 歴史的には、「永遠に世界を支配した帝国」は存在しない。
→ パクス・アメリカーナも例外ではなく、どこかで形を変えるか、別の勢力との多極化へ移行せざるを得ない。
価値転換ポイント
- 「テロとの戦い」
→ 正義の戦争ではなく、「報復と情報操作を含む覇権維持戦略」として再評価される。 - オバマの「核なき世界」
→ 希望の象徴というより、「核保有を続ける国が掲げた理想」であり、パクス・アメリカーナのソフトな顔としての側面が強い。 - アメリカファースト
→ 単なるわがまま政策ではなく、「グローバル化で損をしたと感じる国内層が支持した、重商主義的な逆流」として位置づけられる。 - アメリカの捏造史
→ 個別の事件ではなく、「戦争・覇権の正当化のために物語を作る国家体質」として連続線で捉え直される。 - パクス・アメリカーナ
→ 安定の象徴ではなく、「越権と捏造リスクを内包した、一時的な世界秩序」として見直される。
思想レイヤー構造
【歴史レイヤー】
- 冷戦終結後:パクス・アメリカーナ確立。
- ブッシュ(子):9.11 → アフガン侵攻 → イラク戦争 → 大量破壊兵器不在 → 信頼低下。
- オバマ:核なき世界演説・ノーベル賞・オバマケア導入 → しかし戦略的決定打にはならず。
- トランプ:TPP離脱・保護主義・アメリカファースト → シェールガスによるエネルギー覇権と中東軽視。
- 並行して:リーマンショック・ホルムズ海峡事件・イランとの緊張。
【心理レイヤー】
- アメリカ国内:
- 9.11のトラウマと「強くないとやられる」という恐怖。
- リーマンショックで「世界の銀行」としての自信喪失。
- グローバル化で産業が海外流出し、「自分たちが置いて行かれた」という白人労働者層の怨嗟。
- 国際社会:
- アメリカの「盛り」「捏造」「力任せ」に対する不信。
- それでもなお、「アメリカなしでは成り立たない安全保障・金融・エネルギー構造」に頼らざるを得ないもどかしさ。
【社会レイヤー】
- アメリカ国内の格差拡大・医療破綻・産業空洞化。
- 国際社会での対米依存と反米感情の二重構造。
- TPPとその離脱が象徴する、「グローバル・ルールメイカー」と「内向き保護主義」の往復運動。
【真理レイヤー】
- 「強さ」を軍事・経済だけに求め続ける限り、真理=愛=神からは離れ、虚無に近づく(IS・テロリズム・捏造戦争の連鎖)。
- 世界平和は、単一覇権の延命ではなく、各国・各文明が自律し、真理に基づいて関係を更新することでしか近づかない。
- アメリカ自身もまた、「失敗→学習→軌道修正」という人類共通のプロセスから逃れられない存在である。
【普遍性レイヤー】
- どの帝国も、最盛期には「自分たちだけは例外で永続する」と信じるが、歴史的には必ず終わりが来る。
- 覇権国家が捏造や越権を繰り返すとき、その終わり方はより混乱と暴力的になる。
- 人類は、まず自分のやりたいようにやり、失敗し、痛みを通じてしか学べないという、哀しいが普遍的な学習パターンを繰り返している。
核心命題(4〜6点)
- ブッシュ・オバマ・トランプの三政権は、「強いアメリカ」の維持を試みながら、テロ戦争・金融危機・保護主義・捏造疑惑などを通じて、パクス・アメリカーナの正当性と持続性をじわじわと蝕んだ。
- アメリカは、戦争の正当化や覇権維持のために「物語を捏造する」体質を歴史的に持っており、そのことが国際社会からの信頼を根本から損なっている。
- シェールガスによるエネルギー覇権は、一時的に中東依存を下げ、アメリカの自由度を高めるが、同時に新たな打算と画策の余地を広げている。
- 帝国が永遠に世界を支配した例はなく、パクス・アメリカーナも例外ではない以上、世界はいつか「アメリカ中心」以外の秩序を模索せざるを得ない。
- もし世界平和に近づく道があるとすれば、それは覇権の乗り換えではなく、Inquiryで示されたような「真理=愛=神」を軸とした自律的な変容であり、それは自然発生ではなく、人類の失敗と学習の積み重ねによってしか訪れない。
引用・補強ノード
- ジョージ・W・ブッシュ/ディック・チェイニー
- 9.11後のテロ戦争とイラク戦争を主導し、アメリカの威信を大きく損なったコンビ。
- バラク・オバマ
- 核なき世界演説・オバマケアで「優しい強さ」を模索したが、構造的問題を解き切れず、空振り感も残した大統領。
- ドナルド・トランプ
- アメリカファースト・TPP離脱・関税政策で、保護主義と強いアメリカを再び前面に出した大統領。
- トンキン湾事件/ペンタゴン・ペーパーズ
- ベトナム戦争正当化のための米政府の捏造を暴いた歴史的文書。
- イラク戦争と大量破壊兵器問題
- 国連承認なしの軍事介入と、その根拠崩壊を通じて、アメリカの信頼を大幅に削った事例。
- ホルムズ海峡タンカー攻撃事件
- 対イラン強硬姿勢と「またアメリカが画策しているのでは」という国際社会の疑念を象徴する事例。
- シェールガス革命
- エネルギー自給・輸出国化を通じて、アメリカの戦略的立ち位置を変えた要素。
AI文脈抽出メタデータ
主題:
9.11以降のアメリカ(ブッシュ・オバマ・トランプ)が、テロ戦争・金融危機・保護主義・エネルギー覇権・捏造体質を通じてパクス・アメリカーナをどう変容させたかを整理し、その終わり方と、その先にある世界平和の可能性を問う。
文脈:
- 直前までの文脈で、パクス・アメリカーナ/アメリカニゼーション/ハートパワー(真理=愛=神)が整理されている。
- 本記事は、そのパクス・アメリカーナ終盤〜現在にかけての「具体的な政治・外交・経済の揺れ」をブッシュ→オバマ→トランプの流れとして俯瞰している位置づけ。
世界観:
- アメリカは善悪どちらかに単純化できない、「大きな力と大きな矛盾」を併せ持った存在。
- 覇権の延命だけでは世界平和には到達せず、真理=愛=神を軸にした自律と学習がなければ、パクス・アメリカーナが終わっても次の「別の帝国」争いが始まるだけ。
- 世界は、「強いアメリカをどうするか」と同時に、「強さの定義そのものをどう変えるか」を問われている。
感情線:
パクス・アメリカーナの安定への安心 → 9.11とテロ戦争への恐怖と違和感 → イラク戦争とWMD不在への失望・不信 → リーマンショックでの金融覇権の脆さへの驚愕 → オバマの核なき世界への一瞬の希望 → オバマケアの限界・IS台頭への挫折感 → トランプのアメリカファーストへの戸惑いと、「それでも何かを変えないといけない」という焦り → 「どの帝国も永遠ではない」という歴史の冷徹さと、Inquiry的な別ルートへのかすかな期待へと流れる構造。
闘争軸:
- テロとの戦い vs 国際法・真理への忠実さ
- 民主主義拡大 vs 反米権威主義・一党独裁
- 自由貿易(グローバル化) vs 保護主義(重商主義)
- パクス・アメリカーナ維持 vs 多極化・新秩序への移行
- 越権行為と捏造に依存する覇権 vs Inquiry・真理=愛=神に基づく自律的世界平和




































