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『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』 レビュー(感想)

ポスター画像出典:『映画.com

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レビュー

2020年現在の英国女王エリザベス2世の叔父にあたる存在、イギリス国王エドワード8世とアメリカ人既婚女性ウォリス・シンプソンとのロマンス、いわゆる「王冠をかけた恋」を題材にしている。歌手のマドンナが監督をしたということもあり、角度が芸術的である。ここで言う芸術というのは『常識とは違う非常識な観点』であり、例えばよくある芸術作品で『絵が部屋の外にある』などの狙いに『なぜ絵が部屋の中にしかないと決めつけるのか』という考え方があるが、そういう観点があるということが言いたいのである。


離婚歴のある平民のアメリカ人女性と結婚するためにグレートブリテン王国成立以降のイギリス国王としては、エリザベス2世がその最長記録を持っているのに対し、彼の場合は歴代最短の在任期間わずか325日。彼はこの時多くの批判を受けたが、マドンナの視点からすると、『なぜそれがいけないことなのか?』ということになるわけだ。


別にそういう視点があってもいいだろう。それはある意味、これ以上ないくらい純粋なもので、ロマンチックではないかそう感じる人は世界に大勢いるはずだ。イギリスの王族の映画はいくつもあるのでまとめてみよう。


  1. 英国王のスピーチの真実~ジョージ6世の素顔~
  2. ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋
  3. 英国王のスピーチ
  4. エリザベス2世 知られざる女王の素顔
  5. ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出


こういう順番で観ていくのが一番いい。更にその間に、


  1. ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男
  2. マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
  3. ダイアナ


を観ればより完璧だ。エドワードは『英国王のスピーチ』の主人公ジョージ6世の兄だ。そしてジョージ6世の娘がエリザベス2世である。


補足分析(構造限定)

認知・心理構造
・王という地位は「公的役割が私的感情に優先する」という前提で認識されている
・恋愛や幸福は私的領域に属するものとして、統治から切り離されやすい構造

倫理・価値観の揺れ
・王位の責務と個人の愛情が同時に成立し得ない状況
・「正しい王の在り方」という規範が、個人の選択を逸脱として扱う局面

社会構造・制度背景
・王室制度が宗教・政治・国民感情と結びつき、個人決断を制限する構造
・王位継承が象徴的存在であるがゆえに、私的行為が公共問題へ転化する力学

言葉・定義・前提破壊
・「王の義務」「王冠」という象徴語が、人格より役割を優先させる装置として機能
・「恋」「結婚」が私事ではなく政治的意味を帯びる前提の転倒

現実対応構造
・映画内の構造は、公的役割と私的自由が衝突するあらゆる組織・制度と同型である


論点抽出(問い)

  • (問い1)王の幸福は、誰のために制限されるのか
  • (問い2)公的役割は、どこまで個人の人生を規定できるのか
  • (問い3)伝統は、どの時点で個人の自由を侵害するのか
  • (問い4)愛は、社会的責任より常に劣後すべきものなのか
  • (問い5)象徴的地位にある人間は、私的選択を持ち得るのか

人間理解ポイント

・人は役割によって人格を評価する
・伝統は正当性として機能しやすい
・私的幸福は公的規範によって制限される
・逸脱は道徳ではなく制度によって裁かれる


抽象コア命題(普遍層)

  • 命題1:(役割が人格を上書きする社会では、自由は例外となる)
  • 命題2:(伝統は秩序を守るが、個人を拘束する)
  • 命題3:(公的責務と私的幸福は、同時に成立しない場合がある)

誤認リスク補足

・本作を単なるロマンス肯定/王室否定として読むのは誤り
・史実の是非に焦点を当てすぎると、構造的対立が見えなくなる
・登場人物の感情と、制度が要求する役割を混同しやすい


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