古代ギリシャ哲学者 ソクラテス(画像)
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内省
ソクラテスが刑死したのはおよそ70歳の年齢だった。だから、『もう少し待てばいいのに』と言ったのだ。あと少しで死ぬんだから、わざわざ死刑にする必要はないと。そんなに早く『楽』になりたいのか。目の前の『アブ』を1分でも早く叩き殺したところで、その次に広がる世界は、今までと同じ世界。今までと同じ世界がどれだけのものなのか。そうして生きながらえたって、いずれそんな自分も死ぬのだ。
だとしたらこの人生をより有意義なものだと言えるように、命が尽きるまで、知性の探究をする選択肢もあるはずだ。私は今回のソクラテスの言葉を通してそう内省し、自分に言い聞かせるが、もう一つこの言葉を応用して考えたいことがある。
『もう少し待てばいいのに。』
ということについてだ。
人間はどうも、早合点しすぎるところがある。わかってもいないのに、目の前の人間に無知だということを悟られまいとして、わかったふりをして、空返事をしたり相槌を打つ。面白いことに往々にしてそういう人間は、こちらの反応をチラチラ確認するから今度注意してみるといい。
つまりそういう人間は、『他人にどう思われるかという意識に囚われている』のである。あるいは、『興味が無い』という素振りをしたり、批判をして『あえて触れないだけだ』という設定にし、ただただ自分の無知が露呈しないことに執着し、逆に無様な醜態をさらしてしまう。
私はそういう人間を何度も見た。彼らは、見栄とプライドの意味をはき違えているのだ。思慮深い質問に対しては、思慮深く考えなければ応答できない。思慮浅い人間が露呈してしまうのを恐れ、思慮浅く回答してしまうのであれば、それは結局、思慮浅い。
もう少し待てばいいのに。
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